淡海ネットワークセンター
設立に寄せて…
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| 淡海文化振興財団に期待する 滋賀県顧問 吉良 龍夫 |
| 地域ごとに多様で活力のある暮らしと文化がなければ、国全体そして世界の健全な未来像は期待できないだろう。これが、20世紀の経験からのわれわれの反省でした。 多くの国で、経済成長を重視するあまり中央集権的な体制をとりすぎたために、日本のような国では地域差がうすれて全国が画一的になり、一部の開発途上国では逆に極端な地域格差が生まれています。どちらも、国全体としての弾力性をなくしているのです。 これでは、資源の欠乏、環境問題の深刻化、高齢化、急激な国際化・情報化の進行など、21世紀に予想される難問題に対処することができません。自然界もそうですが、さまざまな異質の部分から成るシステムほど、外部条件の変化に対する適応性が高いのです。 そのような未来社会のなかで、どうすれば他の地域と違った特色をもつ文化をそだて、建設的で生きがいのある地域の生活を作り出すことができるか。それが、いますべての地域に求められている課題です。淡海文化の創造・振興をめざす運動は、それに対する滋賀の志の表明だといえるでしょう。 幸いにして滋賀は、出発点となる条件にめぐまれています。自然条件からいえば、単一の流域圏としてのまとまりのよさ、琵琶湖の存在―琵琶湖は日本の、いや世界の水資源・水環境問題、自然環境保全のモデル的存在です。文化的には、日本有数の豊富な文化財の蓄積が示す歴史の厚み、交通の要としての位置から生まれた住民の視野の広さと情報性。そして最近では、県民の意識革命をおこし全国の洗剤を一新した石鹸運動の成功など、先進的な水環境問題への取組み。 これだけの条件を未来の生活・文化に結びつけることができないはずはないでしょう。新しく生まれた淡海文化振興財団が、県民の方々のなかから新しい発想と実践が生まれるのをどのように支援していかれるか、期待して見守りたいと思います。 |
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吉良龍夫氏●プロフィール 1919年大阪市生まれ。 1942年京都大学農学部卒。京大農学部助教授、大阪市大理学部教授を経て、1982−1994年滋賀県琵琶湖研究所所長。 現在、滋賀県顧問、(財)国際湖沼環境委員会副理事長、日本熱帯生態学会会長。 |
| 市民文化の創造の場として 日本NPOセンター常務理事・事務局長 山岡 義典 |
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| 「(前略)このような閉鎖空間で義務教育された人間は、市民的空間で自己決定権の行使を通じて自己形成してきた人間よりも、恨みや憎悪に満ちてくるのは当然です。」 これは『AERA』(朝日新聞社発行の週刊誌)7月28日号への投稿の一部で、内藤朝雄さんという東京在住の大学院生(35歳)の言葉である。神戸市で発生した中学生による残虐な殺人事件の特集記事に対して発言したものであるが、その事件の背景の説明を越えた普遍的なメッセージを含んでいるように思う。 義務教育の世界に限らず、日本社会は「閉鎖空間」の集合体のように見える。役所も企業も、学界も芸術界も。それに対置する開かれた「市民的空間」。この言葉を、私は初めて聞いた。それは人間が「自己決定権の行使を通じて自己形成」する空間という。内藤さんの独自の言葉なのか、あるいはどこかの分野で既に一般化している用語なのか、私は知らない。厳密な意味も確認していないが、これからの日本社会を考える上で、とても重要な概念のように思える。 勿論それは物理的な空間のことを言っているわけではない。人間関係が織りなす社会的な空間を指している。しかしどこかでそれは、そのような関係を作り出す「場」も背景として含意しているように思える。どのような人間関係も、具体的な場を通じて結ばれるからだ。そして日本には、実はそんな場が乏しい。そんな場、すなわち市民的人間関係を生みだす開かれた「場」が、今、求められている。それは自己責任の場であるとともに、何よりも市民文化の創造の場でなくてはならない。 淡海ネットワークセンターが、多くの市民の自発的な参加によって、そのような場となることを期待してやまない。 |
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| 「ひとの時代」本番へ NPO推進センターひろしま準備会 代表 安藤 周治 |
| 「ひとの時代」シンポジウムと聞いて「あっ」と意表を突かれた思いがしたのは昭和63年の秋だった。 中国山地のむらで、過疎問題から出発した私の地域づくり。20年ほどが過ぎ、「地域から浮き」「何のための、誰のための地域づくりなのか」などなど、むらの中での居場所を探しあぐね、これまでの20年を空しいもののように思っていた頃であった。 当然といえば当然なのだが、地域づくりをはじめ様々な市民活動は「ひとのしあわせ」を願って営まれている。私のためであり、あなたのためであり、私たちのしあわせを願っての行動である。 ベルリンの壁が崩壊し、今日の「変革の時代」がはじまった頃だった。「まさか」と思うような事件・事故や現象の数々がつづく。科学や技術が進む中で、なお一層「ひとがもつ力」の重要性を考えたのも「ひとの時代」の提言の一文からであった。知性やさまざまな能力、精神や感性そして品格など、この時代だからこそ、もっと磨きあいたい「ひとの力」である。 あれから10年。「変革の時代」はつづく。 自分たちの暮らしや生き方に関して、自ら決めて行動を起こしたいと願う人も多くなった。行政府と民間企業が中心となってつくってきた戦後の日本。2つのセクターの限界も見えはじめてきた。 いよいよこれまで、実験し、体験を積み上げ、知恵と技術を身につけてきた「新しい市民活動」の出番である。それはとりもなおさず、「ひとの時代」本番がやってきたということである。 滋賀県と県内市町村の寄付により、財団法人淡海文化振興財団を発足させ、県内のNPO(民間非営利組織)をサポートされようという事業に対し、大いなる期待を寄せるものです。 私たちも5年前から、NPOや市民活動の調査・研究を重ねてきました。そしてこの秋にはNPOを支援する仕組みを発足させようと作業を進めています。 今後も、滋賀の皆様と知恵と技術の交換・交流ができますよう期待をしています。 |
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安藤周治氏●プロフィール 1948年広島県作木村生まれ。本業は柏屋安藤製菓舗の四代目。お菓子作りと原料に使う栗の栽培はもう25年。20歳から青年活動にはまり、地域との関わり深い活動を今日まで。「過疎を逆手にとる会」や「中国・地域づくり交流会」を立ち上げる。 |


