| おうみをかんがえる… |
| 淡海ネット・コラム |
| 「現代社会とNPO」 |
| ー第4回ー |
| 滋賀大学経済学部教授 (財)淡海文化振興財団運営会議座長 北村 裕明 |
非営利組織と公共性
| 今日の非営利組織への着目の理由の一つは、非営利組織が公共的なサービス供給に関わっているということにあります。阪神淡路大震災におけるボランティア活動にしても、障害者共同作業所のような福祉の活動にせよ、長浜黒壁のようなまちづくり活動にせよ、政府では必ずしも効果的に供給できなかった公共性のあるサービスを供給してきたのでした。 同時に非営利組織では公共性のあるサービスを、市民が自主的に自発的に供給しているという点でも、従来とは大きく異なっています。非営利組織を定義するとき、非営利・非政府という特徴と同時に、自発性と自己決定性を持っていることが重要な価値であるとされています。非営利組織の担う参加や自己決定の重要性は、今日話題となっている分権社会を具体的に構想する場合に大きな意味を持ってきます。 地方分権推進委員会の中間報告によれば、分権とは「住民の自己決定の拡大」と定義されています。住民の自己決定は、投票を通じた首長や議員の選出、行政への各種施策の要求、住民投票といったチャネルを通して実現しますし、情報公開はその前提でもあります。しかしこれらは行政を通した公的サービスの供給です。近年の新しい動きは、行政という迂回路をとるのではなく、直接に公共サービスの供給に関わることによって、自己決定のチャネルを拡大しようという傾向が強まってきたことです。そして、直接に公共サービスを供給し自己決定のチャネルを拡大するものとして、非営利組織が注目されているのです。したがって、非営利組織と公共性との関係は、非営利組織が公共性のあるサービス供給に関わっているだけではなく、市民参加の新しいチャネルを形成して住民の自己決定の場を拡大し、現代社会における公共性の担い手となっていることにあるのです。非営利組織の価値として、自発性や自己決定性が重要なものとして評価され、非営利組織が政府と並んで公共性を担うという位置づけを与えられている大きな理由は、非営利組織が市民参加を実質化しうる可能性を持っているからに他なりません。非営利組織には、参加を通して共同性や公共性の再建がビルトインされているともいえましょう。 非営利組織の活動に対して、市民が積極的に参加し、政府が活動条件の整備を行い、企業が支援するのは、非営利組織の担う公共性に注目しているからに他なりません。とりわけ政府は、非営利組織の公共性を活かすことができるような条件整備につとめるという新たな役割を与えられることになったのです。そしてそうすることが、分権社会へ大きく足をふみ出すことにつながるといえましょう。 ※今回で北村裕明さんのコラムは最終回となります。 |
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