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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。

 


滋賀県の情報公開制度が始まって、この3月末で丸13年。
この間、情報公開法が制定されるなどの変化を踏まえ、これまでの公文書公開条例を全面改正し、 新たに「滋賀県情報公開条例」が制定され、この4月から施行されます。
改正条例の施行を控え、市民活動、NPOにとって「情報公開」がどのような意味を持つのか、 龍谷大学法学部教授の白石克孝さんにお話をお聞きしました。
■滋賀県情報公開条例の特徴
―まず、滋賀県情報公開条例をご覧になった感想からお聞きしたいと思います。
今回の改正条例は、今までの情報公開に関わる議論の高まりやその必要性に対する認識が変わってきていることがよく分かる展開になっています。とりわけ、知る権利の尊重と行政の説明責任についてきちんと明示されていることが、この間の行政の変化の象徴だと言えます。  内容的には、請求対象の公文書の範囲を広げるとともに、従来は公開の対象外とされていた公安委員会や警察本部長を実施機関に含めたこと、あるいは県の出資法人にも触れている点がまず挙げられます。また、情報は誰にとってもアクセスできる必要なものという位置づけがされ、請求権者も誰でもよいとなったこともひとつのポイントだと言えます。もうひとつの大きな改正点は、政策形成過程に県民の参加をと単にうたい文句で言うだけでなく、その制度的な保障を盛り込んでいる点だと思います。滋賀県の情報公開条例は、全体として積極的な内容を持っていると思います。こうした動きが、市町村での情報公開の遅れに刺激を与えることを期待しています。
――答える人―
白石 克孝(しらいし かつたか)さん
龍谷大学法学部教授。専門は、政治学・行政学。1957年名古屋生まれ。1986年、名古屋大学大学院法学研究科博士課程後期課程単位取得。名古屋大学法学部助手、龍谷大学法学部助教授を経て、1999年から現職。市民ウォッチャー京都前代表、きょうとNPOセンター運営委員などの市民活動にも関わっている。
■情報公開の持つ時代的意義

―情報公開の意義は、時代によって変わってきていると思うのですが、いかがでしょうか。
 情報公開はまず行政の不正を摘発することに活用されました。最初の段階ではそれは非常に意味があったと思いますが、徐々に情報をどう活用していくかということに重点が移ってきています。意思形成過程に対して県民やNPOがいろいろ発言し、関与できないかと考える動きが出てくるのは当然だと思います。ただ、請求件数はそれほど多くないというのが現状です。しかし、請求件数が少ないことだけで、県民の意識が低いと判断するのはどうかということです。
 情報公開請求は、一般的には摘発型と政策形成型という2つの意義づけだけをされていますが、実はそうではなく、もう1つ大きな意味があると思います。それは、絶えず見られているという意識を行政が持つことで、行政は自らのスタイルを変えざるを得ないということです。公開請求されなくても、いつ、公開請求されてもいいような行政のあり方をつくることが一番必要なことだと思います。透明性を高め、説明責任を果たす、こうした情報公開に対する緊張感の高まりが行政を良い方向に変えるのです。行政は情報公開制度を自己改革・自己革新のチャンスだと積極的にとらえないとだめですね。その上で、行政を信頼した県民が、意思形成にどう一緒に関わっていくのかということになると思います。

■NPOにとっての情報公開

―それでは、NPOにとっての情報公開の意味づけをどう思われていますか。
 NPOとのパートナーシップということが言われますが、パートナーになるには力、資源が必要です。それがなければ単にいいように使われているに過ぎない。では、NPOの力、資源はどこにあるのかと言うと、専門性とかいろいろ言われますが、それよりも大事なことはNPOが人々の間に根をおろしていることだと思います。これを行政がやるととてつもなくコストがかかるし、うまくまとめられるかという点で不安もある。企業にもなかなかできることではない。ですから、人々の中に根をおろすということが第一の条件で、その次にどのようにすれば実現するのかというアプローチを示すことが必要です。そのためには、専門知識も要るかもしれないし、お金も要るかもしれない。いろいろなものが必要なのですが、その中に情報ということが当然入ってくるわけです。だから、情報が閉ざされていると共有できないということになり、ハンデを背負うことになります。情報公開に消極的な相手とはパートナーシップはつくれないのです。

―県内のNPOの半数以上は、1つの市町村を活動エリアとしているのですが、NPOが地域に根をおろすということですと、市町村との関係も大切になってきますね。
 NPOが人々と根づいて活動するということは、当然、地元の基礎自治体との関係が重要となってきます。そこに参加の仕組みやパートナーシップの基礎条件がつくられていないとまずいと思います。ですから、基礎自治体である市町村が、参加のための条件づくりである情報公開条例を持っておくということは、NPOにとっても重要な課題だと思います。

■NPOがいきいき活躍できる社会とは?

―NPOと行政がパートナーシップを組んでいくためには、その基礎として情報公開があるということですね。
 NPOがいきいきと活躍できる社会とはどんな社会かを考えてみますと、それは、人々の生き方など、いろいろな部分で選択の自由度が広い社会だと思います。従来の企業・行政サービスだけではカバーしきれないさまざまな問題を自分自身で考えながら、自分たちの選択が従来のサービスになじまない場合でも、それ以外の選択肢が社会として用意されるような仕組みをパートナーシップでつくっていく。
 では、どうやってそのような社会がつくれるのかと言うと、自分たちでいろいろな問題を決定するという住民自治への共通理解だと思います。その上で、行政、NPO、住民がそれぞれ責任を果たすということだと思います。その根幹には、自治に対する共感がないとだめですし、それは自治体の政策を形成・決定するときに人々がどれだけ関与できるかにかかっています。そういう選択の自由度があり、自治のあるよい社会をつくっていくためには、行政だけでは無理です。みんなとパートナーシップを組まないといけないという積極的な発想が行政にも必要ですし、NPOもそういう視点で情報公開というものを捉えてほしいと思います。

滋賀県情報公開条例の概要(主な改正点)
条例制定の理念、考え方を前文として新たに置くとともに、知る権利の尊重と県の説明責任を目的に明記した。(前文、第1条)
実施機関に新たに公安委員会・警察本部長を加えた。(第2条第1項)
請求の対象となる公文書の範囲を拡げ、決裁後の文書に限定せず、組織的にもちいるものとするとともに、電磁的記録を新たに加えた。(第2条第2項) 情報公開請求できるものの範囲を拡大し、県民等に限らず、何人もできることにした。(第4条)
条例の原則公開の趣旨を明らかにするため、公開義務の規定を明示するとともに、非公開情報のうち、意思形成に支障を生ずる情報の非公開要件を限定的な規定に改めた。 (第6条)
非公開情報が含まれる公文書であっても、公益上特に必要がある場合は公開できることとした。(第8条)
不服申立てについて、実施機関からの諮問に応じて調査審議する滋賀県情報公開審査会の委員に、県民から公募した者を入れることとした。  (第22条第3項)
県の基本的な政策を立案しようとする場合、県民の意見を求めることにより、県民の意見を反映する機会を確保することとした。(第32条)
実施機関に置く附属機関等は、原則として、その会議を公開するように努めるものとした。(第33条)
県が出資している法人は、その保有する情報の公開に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととした。(第34条)


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