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シリーズ 〜NPOへの素朴な疑問〜
不況の嵐が吹き荒れる中、失業率もかつてないほど高くなり、社会不安をかき立てている。そうした中、日産自動車のカルロス・ゴーンは、日産再建の切り札としてもてはやされている。経営再建のために人の首を切ることは易しいし、それが切り札だとすれば非常に寂しい話だ。昨今の経済学者は、こうした風潮を肯定するだけでなく、社会に必要以上の競争を煽って、不安を先導している。 日産と言えば、ユニークな社会貢献活動がある。「未来への投資」という題目で行っている「日産ラーニング奨学金制度」である。NPOで仕事をすることを希望する学生を公募、選抜し、その仕事の報酬として奨学金を支給するもので、福祉・環境・国際交流・文化・芸術などさまざまな分野のNPOが、この制度に協力している。社員をクビにしなければならない時代に、こうした制度をつくるということは、逆の見方をすれば、日産は社会貢献をよくやっていると評価されているのである。 では、県内の製造業に勤める人から聞いた話と比較してほしい。その人の話では、そこの会社の社長は従業員とその家族を大事にしていて、これまで何度となく苦境のときも、従業員を解雇することなく乗り切ってきた。しかし、それでも今回の不況を乗り切るのは困難なようで、雇用確保と会社の行く末とを考え、思い悩んでいるとのこと。この会社は、社会貢献ということをしているわけではないが、雇用を確保することにより、企業としての社会的責任を果たしていると言えるのではないだろうか。 ある企業の社会貢献担当者が「企業は法律を遵守するのはもちろんのこと、社会的な責任を果たし、その後で余力があれば社会貢献すべきだ」と言うのを聞いたことがある。この不況時代に大量リストラし、一部ポーズ的な社会貢献活動を行うことが果たして企業としての社会的責任を果たしているのだろうか。奨学金制度によって、インターンできる学生もタダで人を使えるNPOもそのメリットは大きいが、その裏には家族を抱え、生活不安に怯える人たちが多くいるのである。 こうした企業の対応は、NPOにとってはいいことかもしれないが、社会にとってはマイナスでしかない。目先のことだけにとらわれているようでは、NPOにとっても未来が明るいとは言えないのではないだろうか。 (市民熱人) |