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シリーズ 〜NPOへの素朴な疑問〜
介護保険は、これまでの社会福祉のシステムを「契約」「サービスの利用」という形に変えた。介護保険の指定サービス事業者になるには法人格があればよく、実際、株式会社・有限会社という営利法人からNPO法人、協同組合、社会福祉法人といった非営利法人までいろいろな形態の法人が参入している。 利用者からすれば、営利非営利に関係なく、良質のサービスが提供されればいいということになるのだが、ミッション志向のNPOと利潤追求の企業が共存しうるのはなぜかという疑問もわいてくる。 そもそも介護保険が始まるときに、NPO側が危惧していたことがある。住民参加型在宅福祉サービスを行ってきたNPOは、企業との競争に負け、自分のところの職員を企業にとられ、介護業界では企業がNPOを駆逐してしまうのではないかということである。しかし実際には、企業の撤退はあってもNPOが撤退したという話は聞いたことがない。理由は簡単である。企業論理からすれば、儲からないこと、もっと言えば損を出してまでは続けられないのである。一方NPOは、地域の課題解決のために始めるというパターンが多いので、いいことだとは言えないが、少々の損はいとわない。それに加え、寄附金を集めたり、有給スタッフ以外のボランティアにも関わってもらえるという企業にできない利点もある。 実際の介護の現場を見ると、生き残りのために企業も送迎などの儲からない部分を担っているところもあるし、NPOもNPOでしかできないきめ細かいサービスに取り組んでいる。いい意味での競争が行われ、重層な仕組みができあがりつつあると言えるだろう。 一般的にNPOはミッション志向の団体で、企業は利潤追求の組織というように、NPOと企業の違いを挙げるのは簡単だが、その境界はだんだんグレーになってきているのかもしれない。その意味では、企業にもミッションがないと生き残れない時代になっている。 (市民熱人) |