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この4月から小中高学校で導入された総合的な学習の時間は、社会体験学習や、地域の人々の参加協力による学習を取り入れるよう配慮されています。地域のNPOがどのような形で総合的な学習の時間に関わっていくことができるのか。子どもたちと関わっている県内のNPO団体のお二人にお話を伺いました。 インタビュー/川勝六四(淡海ネットワークセンター事務局) |
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■総合的な学習の時間は「生きる力をつける教育」をねらいとしていますが、今までの学校教育の中では無理だったのでしょうか。
井阪 もともと、学校教育は「生きる力」を追求するものです。しかし、学校は「箱」というイメージがあって、一歩外に出られない先生たちが多いんです。子どもをレールに乗せてしまう。学力アップのために貢献してきたが、一方で行き詰まっている部分があって、「もう一度体験活動を取り戻しましょう」ということをやっているんです。もうひとつは、地域の教育力がかなり落ちてしまったということです。かつて地域行事の中心は中高生だったのですが、今は小学生に移ってきて、それも結局は親が全てやってしまっている。子どもはただ見ているだけなんです。 関田 都心部へ行くと、子どもたちが近所の人と共同して何かをするとか、作業するという機会がなかなかありません。従来の村としての機能がなくなってきていますね。古い形の村の衰退には、やはり必然性があるわけで、私は村が持っていた機能の有効な部分をもう一度意図的に再構築していきたいと思っています。 井阪 農業体験は作業なり生活なりがずっと連続しているわけですが、学校は非連続なんですね。カリキュラムでは連続していても、子どもたちの体験ということでは、ある部分だけがポン、ポンと飛んでしまって、それを無理矢理つなげると非連続になってしまう。非連続だと、イベントはできてもそこに込められている意味がつかみにくく、価値観ができにくいのです。総合的な学習は、本当は連続性を持たせないといけないんです。その力量が、教師に問われているわけです。 関田 蒲生野考現倶楽部と私がやっていることは「学習のためのフィールドづくり」という共通点があります。教育と学習を比較すると、教育には教育者がいつも一段高いところにいるわけですが、学習には、学習を促す者と学習する者がほぼ同じフィールドにいます。場合によっては、学習を促す者がいなくても、学習を促すフィールドがあったり学習を促す契機があったりすると、学習する者が自分で学習していくわけです。だから自発性という意味でだいぶ違う。総合的な学習というのは結局、どこまで自発的に学習できるかなので、教育現場ではとまどいがあると思いますね。でも、失敗を恐れずにやっていけばいい。失敗から学ぶことも大切だと思います。 |
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■お二人は総合的な学習の時間にどのような形でかかわっておられるのですか。 井阪 学校が土日休みになるので、社会教育に視点をおいてメニュー揃えをしている段階です。月曜日から金曜日の学校のカリキュラムに入るのは難しいですね。学校というのは他からのプログラムを取り入れる余裕がありませんし、教師には限られた時間でカリキュラムをこなすという効率性を求められていますので、自然学習の連続性というものは「ムダ」と見られるわけですね。 関田 草の根農業小学校は社会教育という位置づけなので、学校にではなく一般に呼びかけています。農業は少なくとも種をまいて、育てて、収穫して、食べるという体系を大事にしていますから、連続性のある授業でなければ難しいですね。学校側がカリキュラムを組んで来るという姿勢があれば、大いに歓迎します。今、私は生涯学習課の委員をやっているんですが、その委員会で県下の状況をお聞きしていると、最近社会教育と学校教育がだいぶタイアップしてきているという印象を持っているので、今後に期待しています。 |
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■今後、総合的な学習の時間はどう進むとお考えですか。
井阪 展望すれば、今の学校教育はこのままいくでしょう。自由にできる総合的な学習の時間は、最初はいろんな取り組みが花開くと思うんですが、そのうち集約されてパターン化されていくと思います。「こなす」授業になっていく。子どもが学んだ姿がそこにあるかどうかがポイントで、子どもの成長や学ぶ姿を記録できる教師にならないといけないと思いますね。NPOの方たちは、自分という人間がこの社会の中で何ができるかを問い続けながらやっているわけでしょう。そのノウハウをいかに学校が取り入れるか、NPOと学校がいかにパートナーシップでやっていくかが課題だと思います。 関田 教育は出発点によってすごく違ってくるんです。今は日本全体がどっちへ行くのかわからないという状態ですし、大人たちも一人ひとり、「なぜ生きているのか」という問いにはっきり答えられない状態になっています。だから子どもたちに対して、何のために、何を教えていくのかという根本的なところがおさえられていません。NPOの人たちは目標を持って活動しています。そういう意味で提言していける部分があると思いますね。すでに、図書館とか公民館という社会教育と学校教育がリンクし始めています。その次の段階として、学校教育の側から要請があれば、NPO側の準備はできているということです。 井阪 これからは学校と地域やNPOをつなぐ役割をしてくれる地域のコーディネーターの役割が大きくなってくるでしょうね。学校の非連続なところをNPOによって連続性を持たせていくと、全体がつながっていくのではないかと思っています。 ◇総合的な学習の時間に対して、NPOがカリキュラムを組む段階から入っていくというのはもっと先かもしれませんが、学校が外部の人を受け入れるようになった、という部分は成果ですね。子どもたちから「こういうのを学びたい」という声があったときに、先生がどれだけメニューを持っているかということが、この総合的な学習の時間が成功するかどうかのカギになってくるのではないでしょうか。 |
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「総合的な学習の時間」について 滋賀県教育委員会 学校教育課にお聞きしました Q.「総合的な学習の時間」ができた背景は? A. 教育を取り巻く様々な課題や社会環境の変化があり、これからの新しい時代の教育のあり方が問われる中で、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育てるために設けられました。 Q.「総合的な学習の時間」のねらいは? A. 総合的な学習の時間は、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育て、学び方やものの考え方を身につけ、問題解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすることをねらいとしています。そのため、各学校は、地域や学校、児童の実態等に応じて、横断的、総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行っています。 学習を進めるにあたっては、自然体験やボランティア活動などの体験的な学習や、地域の人々の参加協力を得たり、地域の自然や施設を積極的に活用したりするなど工夫を生かした学習が行われるよう配慮しています。 |



