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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。


NPO法改正に向けて徹底検証

 特定非営利活動促進法が施行され4年あまり、全国でNPO法人は1万を超え、県内でも90を超えるNPO法人が設立(2003年4月現在)され、NPOは社会で大きな存在となっています。4月には支援税制の改正、5月からは改正NPO法の施行、また、政府部内ではNPO法人制度の根幹に関わる制度改革の議論がなされるなど、NPOをとりまく状況は大きく変化しています。今回のおうみネットでは、NPOをとりまく現在の状況を(社福)大阪ボランティア協会の早瀬昇さんにお聞きしました。(事務局 川勝六四)

早瀬昇さん


(社福)大阪ボランティア協会理事、事務局長。著書に「自治体・公共施設のためのボランティア協働マニュアル」(共著)、
「NPOと行政の協働の手引き」(共著)など

■特定非営利活動促進法(以下「NPO法」)が5月から改正・施行されますが、今回の改正ポイント(注1)はなんでしょうか?

早瀬:今回の改正は、法施行から4年を経て、不都合な部分を改正した、という印象です。特定非営利活動が5種類増えましたが、これらは法制定時には想定していなかった産業創造やコミュニティービジネスに近い視点のもので、時代の流れを追認している、という感じですね。経済の行き詰まりを何とかNPOで解決して欲しい、という意味合いもあるのかもしれません。

法改正に合わせて、内閣府が「認証基準」(注2)を示しましたが、これについてはどうお感じですか?

早瀬:これはあくまでも「内閣府が認証する基準はこうですよ」というものですが、NPOの実情、例えば会計基準などを示さず単純にこうだ、という方法はどうかとも思います。NPOに対する評価基準は必要ですが、これは国が示すものでなく、あくまでも民間サイドでするべきで、支援者などとNPOが出会う「市場」で淘汰されるべきものと思っています。それに、認証行為は本来、自治事務で都道府県ごとに独自の基準を立てられるのですが、安易に都道府県が追随することも危惧されますね。

税制では4月から認定NPO法人制度(注3)も改正されましたが、これについてお聞かせください。

早瀬:大幅な改正がなされましたが、アメリカのように寄付金の算入基準限度額から助成財団の助成金が除外されなかったのは残念です。助成財団から大きな助成金をもらうと、今回の改正でも認定NPO法人にはなれないからです。ただ、総収入金額の算定で、国、地方公共団体、国際機関からの委託事業費が除外できるようになったので、海外援助を行う団体などは認定を受けやすくなると思います。余談ですが、「国、地方公共団体の委託事業費」が対象外になるとは予想していませんでした。これは海外協力団体を応援しようという某議員の尽力があったようです。全体としてみれば、一方で特定公益増進法人の認定が極めて厳しい現状があるなかで、税制度全体の均衡ということを考えれば、精一杯なのかなと思います。

今回の改正で認定NPO法人となるところは増えるでしょうか

早瀬:従来の制度では認定法人はNPO法人全体の0.1%にすぎませんでしたが、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会の試算では、NPO法人全体の2〜3%になるだろう、ということです。
 今回の改正で大事な点は、もともとこの制度自体、パブリックサポートテスト(PST)という客観基準を導入したことが画期的だったのですが、客観基準の制度は制度改正しやすいということが明らかになった点です。もうひとつは、当初財務省は1/3要件を1/5要件に変える程度で十分だろうと考えていたようですが、昨年春から夏にかけてシーズが実態調査を行い(※注4)、その調査データを基に1/5に変えるだけでは不十分だというデータを示しロビー活動を行ったんですね。数値を示したことで財務省が慌てた、という経緯があります。つまり、市民活動サイドが数値データを持っていることが今後、政策提案・政策提言活動をしていくうえでいかに大切なのかということを示したわけで、運動論上のモデルケースになったと思います。

ありがとうございます。支援税制の見直しが始まる一方、「原則課税」を掲げた「公益法人制度改革」(注5)の動きがありましたが、これについてお聞かせください。

早瀬:公益法人制度改革の一環として、行政改革推進事務局と政府税制調査会でNPO法人を公益法人、中間法人とともに準則主義で設立できる「非営利公益法人」として一本化し、その法人は原則課税(寄付金などにも課税)とし、公益性・公共性等の要件を満たせば、登録法人として一部非課税にする、という案で検討されていることが2月にわかりました。その後各地で緊急の反対集会が開催され、新聞各紙でも取り上げられ、また与党からもおかしいという声が出てきて、結局3月10日に自民党NPO特別委員会からの申し入れもあり、当面はNPO法人をはずしてとりあえず公益法人と中間法人を一本化しようという動きがありますが、それでも問題が多く、今後の動きを十分注意していく必要があります。

今回の制度改革のどこに問題があるのですか

早瀬:まず、非営利法人である公益法人とNPO法人と、解散時の残余財産を構成員で分配できる点で非営利法人とはいえない中間法人を一緒にしようということ自体に無理があります。それに3つの法人制度は成立の経緯や背景、歴史も全く異なります。それと非営利法人が原則課税ということになれば、法人格を取得することは任意団体に比べて不利になり、NPO法制定後、社会に広がり始めた市民活動の組織化にブレーキがかかり、市民活動の成長が抑制する恐れもあります。つまり、制度の組み立て方に問題がある。もし制度を改革するなら、少なくとも任意団体より不利になるような制度ではダメです。
 NPO法人は旧来の公益法人制度の反省のうえにできた制度です。今、ようやく行政から独立したNPOと行政との対等な協働が芽生えつつあります。そのような時に、今回のような筋の通らない一本化をするとせっかく始まりかけた新たな協働の動きが飲み込まれてしまいます。

今後どのように動きそうですか?

早瀬:とりあえず中間法人と公益法人を統合ということで話がつきそうですが、NPO法人についても将来的には統合という方向性になっています。今、中間法人と公益法人が一緒になってしまうと、今後NPO法人もそれに取り込まれてしまう可能性が高いわけです。ですから、NPO法人の特性を今後も守るためには、中間法人と公益法人の合体自体に反対するなど、今回の公益法人制度改革がNPO法人自身の問題であると危機感を持って運動を進めていく必要があると思います。

ありがとうございました

【注1】NPO法の主な改正点
●特定非営利活動の種類の追加(12分野→17分野)
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動、情報化社会の発展を図る活動、科学技術の振興を図る活動、経済活動の活性化を図る活動、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動、消費者の保護を図る活動
●設立の認証の申請手続の簡素化
 法第10条に規定する申請書に添付する書類のうち、次の書類を省略
 ・設立者名簿 ・設立当初の財産目録 ・設立当初の事業年度を記載した書面
 法第10条に規定する申請書に添付する書類のうち、次の書類をそれぞれ統合
 ・役員名簿と報酬を受ける役員名簿
 ・就任承諾書と宣誓書(それぞれ謄本)
●定款記載事項の変更
●暴力団を排除するための措置の強化
●役員任期の伸長
●予算準拠規定の削除      など

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【注2】内閣府「NPO法の運用方針について」の主な内容
●定款記載事項:法人の目的、特定非営利活動の種類、特定非営利活動に係る事業その他当該法人が行う事業の内容が、定款上それぞれ具体的かつ明確に記載されていること
●特定非営利活動に係る事業:特定非営利活動に係る事業に支出規模は、設立当初の事業年度及び翌事業年度ともに総支出額の2分の1以上であること
●管理運営:管理費の総支出額に占める割合が、設立当初の事業年度及び翌事業年度ともに2分の1以下であること。  など
※詳細は内閣府ホームページhttp://www5.cao.go.jp/seikatsu/npo/index.html参照

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【注3】認定NPO法人の認定要件の緩和
NPO法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であることならびに公益の増進に資することにつき一定の要件を満たすものとして、国税庁長官の認定を受けたものをいう。

■認定要件改正の主な内容
●いわゆるパブリックサポートテスト(総収入金額のうちに寄附金総額の占める割合が3分の1以上であること)に関し、次の措置が講じられた。

受入寄付金総額等/ 総収入金額等≧ 1/3 → 1/5

イ  平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間、当該割合を5分の1以上に緩和
ロ  一者からの寄附金等について、寄附金総額に算入できない金額を寄附金総額の5%(現行2%)を超える金額とする
ハ  一者からの寄附金について、総収入金額及び寄附金総額に含めない寄附金額を3,000円未満から1,000円未満に引き下げ
ニ  国・地方公共団体及び我が国が加盟している国際機関からの委託事業費並びに我が国が加盟している国際機関からの補助金の額を総収入金額に含めない
●広域性要件の削除
 特定非営利活動が複数の市区町村で行われていること等の活動等の範囲に関する要件を削除する。
●みなし寄付金制度の導入
認定NPO法人がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額については、その収益事業に係る寄附金の額とみなすとともに、寄附金の損金算入限度額を所得の金額の20%とする。

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【注4】実態調査結果の詳細については
シーズ=市民活動を支える制度をつくる会ホームページhttp://www.npoweb.gr.jp/参照

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【注5】「公益法人制度改革」のうごき
2000年12月 政府「行政改革大綱」を閣議決定
(行政組織・制度の抜本改革・・・「公益法人に対する行政の関与のあり方の改革」「地方分権の推進」「規制改革の推進」など)
2001年1月 内閣官房(内閣府)に行政改革推進事務局設置
(「行政委託型公益法人等の改革」が担当業務のひとつと位置づけられる)
2001年12月 行政委託型公益法人等改革の実施計画(補助金関係)中間とりまとめ
2002年3月 2002年度中に「公益法人制度改革大綱(仮称)」を策定することを閣議決定
4〜6月 行政改革推進事務局 有識者18人(のべ27人)にヒアリング
2002年8月 「公益法人制度の抜本改革に向けて(論点整理)」を政府行政改革推進本部へ報告
(非営利法人への一本化、非営利・公益法人+中間法人案等の改革パターンを提示)
2002年11月 内閣府行政改革推進本部公益法人制度の抜本改革に関する懇談会設置
政府税制調査会非営利法人課税ワーキンググループ設置
2003年2月  政府税調課税ワーキンググループは、新しい非営利法人は原則課税とし一定の要件を満たすものは非収益事業につき免税とする方針であることが報道される
2〜3月  報道を受けて各地でNPOによる緊急集会開かれる
  3月  自民党行革推進本部から政府行革推進本部へNPO除外を申し入れ
  3月  政府行革推進本部事務局 NPOを当面は一本化の対象外にする旨発表
(参考:2003年2月28日大阪で開催された「緊急集会」配付資料 早瀬 昇氏作成)

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