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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。


NPO対談遠矢家永子さん(SEAN)×小川泰江さん(びぃめ〜る企画室)

 女性の社会への進出」という言葉を耳にしますが、やはり、男性に比べれば、結婚、出産のため、社会から家庭へといったんは身を引く女性が多いのが現状です。こうした女性たちが、今、NPOとして社会に参画し、女性にとって住みやすい社会をと、さまざまな形で活動を始めています。今回の特集では、女性たちのNPO活動として、滋賀県でも積極的に活動する「NPO法人びぃめ〜る企画室」代表理事の小川泰江さんとジェンダー啓発に関する研修や調査研究などの活動をしている「NPO法人SEAN」代表理事の遠矢家永子さんに対談していただき、女性の社会参画にNPOが果たす役割に考えてみます。

遠矢家永子さん
(特)SEAN代表理事・事務局長

SEANはSelf Enpowerment Action Networkの頭文字。1997年に『ネットワークステーションとんがらし』という名称で活動開始。自立支援事業の「サポートとんがらしプロジェクト」や「仲間づくりプロジェクト」、中学生向けジェンダーフリー教育プログラムG−Freeをはじめとする啓発研修事業などを実施。
連絡先:072-684-8584
http://www.npo-sean.org
小川泰江さん
(特)びぃめ〜る企画室理事長

「滋賀県の女性に役立つ情報と一歩を踏み出すきっかけの提供」をコンセプトとして1997年に設立。現在、フリーペーパー「びぃめ〜る」を隔月で22,000部発行するほか、びぃめ〜るWEB版、メルマガ、FM滋賀などによる情報発信、出版、WEB制作、IT講師派遣などの事業を実施。
連絡先:077-554-1774
http://www.bmail.gr.jp/

●それぞれ活動をはじめられたきっかけをお話し下さい。

遠矢 21歳で結婚し専業主婦として家庭に入り、子どもを産んだ当初は、あまり社会を意識せずに暮らしていました。子育ての中で、子どもの未来を考えていくと、添加物のことや戦争のことなど、硬派なことも含めていろいろなことを考え始めました。そんな中で自分と向き合い、「ジェンダー」とも出会い女性グループを立ち上げました。学習会の4年目、子連れの参加者が多くなり、子どもも親も他の参加者も心地よく参加できるしくみを考えたいと、1997年に保育サポートグループ「ネットワークステーションとんがらし」を立ち上げました。保育は子どもの命を預かること、また、預ける方・預かる方に力関係を生み出さないためにも、有償ボランティアによる相互扶助としました。

小川 7年前千葉県から夫の転勤に伴い滋賀県へ引っ越してきて、生活情報がないことに本当に驚きました。それまで情報があるのが当たり前でしたから。いろいろな情報を集める中で、BBB(ベイブリッジベイビーズ)のフォーラムに参加し、そこで滋賀県で活動しているインターネットのママサークル「でじまむ」に出会い活動に参加するようになりました。そのメンバーと「情報がないね」と話をしていて、「ないなら自分たちで情報誌をつくろう」ということではじめました。遠矢さんと少し違うかな、と感じることは、「子どものためというよりは、子どもがいても自分たちがやりたいことをやりたい」で活動をはじめたところですね。

●SEANもびぃめ〜るもNPO法人の認証を受けられましたが、法人格を取得した理由と取得後何か変化がありましたか。

小川 当初法人格を取る必要性を感じていなかったし、NPO法人っていっても特にメリットもなく魅力的でもなかった。ただ、やはり事業をしていくうえで社会的信頼を得ようとすると、任意団体、個人対応では限界が出てきます。法人化を検討する中で有限会社化も含めて議論しましたが、自分たちの理念は何かということを考え、NPO法人をとりました。行政の対応など、NPOに対するある程度の信頼は出てきたと思うが、ただ、NPOが乱立し、NPO全体に対する信頼が少し揺らいできているようにも思うので、これからはNPO自身の評価なども必要かと思いますね。
遠矢 私たちも有限会社にするかNPO法人にするか議論しました。自分たちは社会変革が第一の目的なので、NPO法人となり、組織として信頼を得られればと考えました。ただ、NPO法人に対する認識は加速度的に変わりつつありますが、まだまだ浅いですね。

●活動内容を拝見していて、参加する側にとって、びぃめ〜るは情報誌ということで窓口が広いと思いますが、SEANは目的意識がはっきりしていないと入りづらいのではないですか。

遠矢「サポートとんがらし」プロジェクトがあるので、子どもを預けることを目的にSEANへ参加される人もいます。そんな人にもこちらから積極的に情報提供することで、それがきっかけとなって自分に「気づく」人もいます。「自分らしさ」といいますが、その「らしさ」が自分にとって抑圧となっている人も案外多くいます。「らしさ」ってある意味虚像なんですね。その「らしさ」に悩んでいる自分があなたそのものだからそれでいい、という働きかけが必要です。情報が溢れているのでみんな「こうある方が幸せ」という青い鳥症候群に陥っているように思います。

●「ジェンダー」という言葉を知らない人はまだまだ多いし、言葉だけが走っているような気がします。滋賀県でも「ジェンダー」の理念を明確にしたSEANのような活動は広がっていくでしょうか。

小川 滋賀県ではある意味地域格差が大きいので、どの地域で活動するかによると思います。むしろ、ジェンダーというと若い世代が来ない事が課題だと思います。そういう点で、SEANがNPO法人でやっているということは好意的に思われているし、わかりやすく受け入れられるのではないかと思います。

遠矢 高槻でもさほど変わりはないです。G−Freeのスタッフの半分は高槻以外から通っています。特に同居や転勤族の人たちは、ジェンダーをうすうす感じながら、直視できないでいる。直視してしまうと家族を維持できない場合があるからです。また、ジェンダーに気づき学習しながら実生活が変わらない人も多いですね。学習と生き方そのものがリンクして初めて、自己肯定感が持てエンパワーされるのですが。

●女性が結婚し、一旦家庭に入ってから再度社会に出て行くのはなかなか難しいのが現実ですが、そのあたりも変えていきたいと思いますか。

遠矢 社会資源が豊富になれば、もっと外に出る人が増えると思いますね。3歳児神話などで「子どもの善し悪しは母親で決まる」と言われ、子どもを人に預けることに罪悪感を持つ人も多いから、子育て期はどうしても家庭にはいる。家庭に入り閉鎖された世界の中で、社会との接点を具体的にイメージできなくなってしまう。本当は生きている限り社会と関わっているのにそのことがイメージしにくい。子どもが学校に進学し、自分の手にゆとりができた時、再就職しようとしても家事や育児は自分のキャリアにはならない。だから自信をなくしあきらめていく。「サポートとんがらし」では家事や育児もキャリアとして位置づけ、ワーカー登録の際に資格の有無は問わないようにしています。

小川 子育てが一段落していざ再就職といってもこのご時勢ではなかなか難しい。その中でNPOの果たす役割も、有償という意味ではなくて、社会に参画という意味ではこれから大きな役割を担って行くのかなあと思います。お金が伴うことだけが重要ではなくて、多様な参画の仕方を可能にしていけたら。SEANのやっている託児なども重要な役割を果たすだろうし、エンパワメントの講座などや組織なども滋賀でも増えてきているので、そのあたりがうまく続いていけば、いろんな局面で出てくる女性が増えてくるのではないでしょうか。

●最後に、今後どんなところに力を入れた活動を考えていますか。

遠矢 ジェンダーの問題は女性問題ではなく人間問題だと言った人がいます。女性が抱える問題もさることながら、今厳しい状況にあるのはむしろ男性側。男性は自分が抱えているジェンダーに気づきにくいし認めにくい教育を受けています。引き込もりなども圧倒的に男性が多い。また、若い世代でジェンダーの問題に対し嫌悪感を持っている人も多い。男女平等という考え方を、一部の女性たちが自分たちの権利だけを主張し強くなるというイメージで捉えてしまっている。性別へのこだわりから生まれる問題に気づき人生を自分の手に取り戻してもらうために、そういう人たちをSEANの活動に巻き込んでいきたいと思っています。

小川 今、最も力を入れている事業が「インターネットモニター隊」で、何かやりたいが一歩を踏み出せない人に社会参加のきっかけづくりを、ということで取り組んでいます。最終的には千人ぐらいの参加を目指したいと思っています。20代〜40代前半のある程度時間がある主婦といわれる層が中心になると思われますが、これを上手くもっていけたら、浅くはあるが広く女性の社会参画という事につながると思う。ただのモニター事業ではなくて例えば審議会とかの場でも現状を発言、政策提案していけるような、また、企業に対してもいろいろな新商品の共同開発までもっていけるような事業にして行けたらと考えています。

●年2回発行の広報誌「SEAねっと」と遠矢さん執筆のエッセイ集。

●「びぃめ〜る」発行の様々な冊子。

◆◆◆取材を終えて・・・◆◆◆
 直球のSEANと変化球のびぃめ〜る。手法は違ってもめざすところは「一歩を踏み出す」きっかけづくり。こうした団体がネットワークを築くことで、女性が社会の中で気持ちよくイキイキと活動していくことができるのではないでしょうか。(六)

【ジェンダー/gender】生物学的な性の違い(セックス)に対して、出生後に周囲と関わりながら育つ中でこうあるべきだとして身についた社会的・文化的な性差をさす。「男だから、女だから」「男は仕事、女は家庭」などの性別役割分担意識もジェンダーの一部。 (滋賀県男女共同参画課HPより)

【3歳児神話】「子どもは3歳までは、常時家庭において母の手で育てないと、その後の成長に悪影響を及ぼす」という考え方。これらは、今日では調査研究や歴史的な経緯からも合理的根拠がないことが明らかになっている。(滋賀県男女共同参画課HPより)


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