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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。

◆T◆O◆P◆I◆C


この記事は昨年11月8日に開催しました第1回わくわく市民活動ゼミナールでの山岡義典さん(日本NPOセンター常務理事・事務局長))の「市民活動の意義と役割」の講演から抜粋したものです。なおこの講演録は山岡さんのご理解を得て、「淡海ネットワークセンターブックレットNo.2」として発行しますので、ご関心ある方はお問い合わせ下さい。



「市民活動」という言葉が普及し始めたのは、5〜6年前からです。
 「住民活動」という言葉はあるわけです。「住民活動」は、町内会活動というか地域の住民の活動のことをいってましたが、「市民活動」で議論になるのは「市民とは何か」ということです。住民というのは、そこに住んでいる人という意味です。だから、草津市の住民かとか、あるいは滋賀県の住民ということでいうと、住民登録している人が住民になるわけです。これは、住んでいるということでアイデンティファイされる、そういう人々ということです。それに対して市民という場合は、ある種の何がしかの社会的な立場とか、いろんな所属とか何かにとらわれないで、個人としての社会的責任を自覚した人を市民といえばいいのではないかと思っております。「住民活動」というと、ここに住んでいる人たちがほとんど参加するが、「市民活動」というと、あっちに住んでいる人、こっちに住んでいる人、地域の中では、本当に一人か二人かもしれないが、広がると大勢の人がいるかもしれないというような感じです。ただ、日本では「市民」という言葉を使いますと、「うちは村だから村民というんだよ」とか、「うちは世田谷区だから区民というんだ」、「草津市なら市民ですね」ということになります。そういう点で、「市民」という言葉には二つの意味がある。何々市に住んでいるという住民という意味と、そうではなくて、まさに市民意識を持っている市民という言葉の二つの使われ方があります。「市民」という言葉を行政が使うときには、非常に難しい問題があります。○○市における場合には、いわゆるシチズンという市民と、市に住んでいる人というレジデントという意味の両方が、曖昧なまま「市民」という言葉を使っているという状況があります。

 それから、「活動」ですが、市民運動というのは前からあったわけです。市民運動にいろいろ関わってきましたが、「運動」というのはやはり要求したり反対する。権力闘争というか、権力に対して反対したり要望するというのが「運動」なわけです。「運動」は、ある目標を達成すると、あるいは達成しないことが分かるとだいたい終わるわけです。「保育所設置運動」という運動は、設置ができた段階で終わるわけです。「運動」は一般には行政・企業という権力に対して、反対したり要望したりしていくというイメージが強いわけです。そして、それが達成されればそれで終わるわけです。あるいは達成しなければ、解散するわけです。それが「運動」で、これも非常に重要です。一方で、それを公的にやってほしいという運動も平行してやってるかもしれないが、とにかく自分たちでやる。あるいは、自然保護でも「ちゃんと保護しろ」という運動から、自分たちで「これを買ってやっていこう」という活動になる。そうして持続して責任をもって自分たちが何かをやっていこうというものは、「運動」というより「活動」という概念のほうがいいのではないかと考えます。創造学習型というか、自分たち自らが持続してやっていくということは、「活動」という概念で捉えたほうがいいのではないかと思っています。それは、自発的で継続的な創造行為で、他者に対する要求というよりも、自らがやるということです。それを「活動」と呼べばいいのではないかと考えたわけです。

 それから、行政や企業の活動に対する意味が重要です。市民活動を僕は「草の根の第3セクター」と呼んだのですが、この場合の第3セクターは、日本の第3セクターという意味とは違って、国際的な意味で使っている第3セクターです。第3セクターという言葉は日本でよく使われますが、これをそのまま英語に訳すと通用しない。日本の第3セクターは、鉄道の経営、工業団地の開発などの自治体と企業がお金を出し合っている公営企業体のことを呼んでいます。これは、日本の中ではすでに定着した言葉ですが、国際的には通用しない。国際的に第3セクターは「民間非営利セクター」、「ノンプロフィット・セクター」といいます。これはアメリカで生まれた言葉です。第1セクターが行政です。税金を納めて税金で儲からないことをやる、税金によって社会サービスを提供する部門を第1セクターという。これは、日本でもアメリカでもヨーロッパでも世界中共通です。第2セクターは、民間の営利を目的として行う活動のことをいう。これも世界共通です。ですから、第1セクターは行政部門、第2セクターは企業部門として世界共通。これに対し、アメリカでは、民間が金儲けにならないことをやるというのが非常に重要な意味をもっているということで、それを第3セクターと呼んで、1960年代から社会の中で位置づけられてきた。70年代にはたくさんの議論が出てきて、大学の講座もできて、80年代になって非常に普及した言葉です。
 そういう意味で、第3セクターは、アメリカでは民間の非営利セクター、別の呼び方では「インディペンデント・セクター」といういい方をします。「独立セクター」あるいは「自立セクター」という意味です。「インディペンデント・セクター」という言葉は20年前ぐらいから使われ始めたようです。行政からも企業からも独立して意志決定をし、活動をするセクターであるという意味です。あるいは、「ボランタリー・セクター」という呼び方もします。これは、自発的にやるセクターだという意味です。このように「インディペンデント・セクター」、「ノンプロフィット・セクター」、「ボランタリー・セクター」、「ザ・サードセクター=第3セクター」などという言い方をします。第3セクターという呼び名が一番最初ですが、第3のというよりも本当は第1だという気持ちや意味を込めているのでしょうか、「ボランタリーセクター」、「インディペンデント・セクター」という言い方を好んでします。
 「市民活動」は、第3セクターの中核的な部分であると僕は位置づけています。これは、企業とか行政に対して対立するとかいうことではなく、インディペンデント=独立して、性格の違う、行政もできない、企業もできない何かをやる活動なんだということです。「市民活動」の重要性を認めて、そういう活動を日本の中でももっと活発にしていこうと、トヨタ財団にいた頃に、この市民活動助成のプログラムを開始したという記憶があります。欧米ではいろんな伝統があるから、特にこういうことに対して納得しますが、日本は、特に明治維新の後、近代国家をつくったときに、企業と国家という2つの車輪で日本の社会をつくりあげ、高度成長までの発展をとげてきましたから、もう一つの活動がいるというのがなかなか分からないのです。分からないから、足して2で割ったものを第3セクターというわけです。アメリカには二つ以外に何かあるというので、別のものを第3セクターと呼ぶわけです。そんなこともあって、「どうしてそういうのを民間でやらないといけないの?」ということが日本では多いわけです。


(講演はこの後、「市民活動の意義と役割」等についてされました)

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