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■NPOインタビュー■
「市町村の合併の特例に関する法律」(いわゆる「合併特例法」)の期限を来年三月に迎え、県内でも市町村合併にさまざまな動きが出てきています。しかし、多くの住民の将来に多大な影響を与える市町村合併ですが、いまひとつ住民の日常生活から離れたところで進んでいるような印象を受けます。 インタビュー:淡海ネットワークセンター 川尻良治 |
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■富野暉一郎(とみのきいちろう)さん 1944年逗子市に生まれる。京大理学部、東大大学院で天文学を専攻。その後、株式会社ヘリオス社長を経て、池子米軍住宅問題を契機に逗子市長を3期。現在、龍谷大学法学部教授。 |
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富野 今回の平成の大合併については、「国の都合による国のための合併」という性格を強く感じます。ですから、市町村も県も国の意向で動いているという色彩が強い。基本的に必然性があるところは、例えばさいたま市のように、黙っていても合併に動きます。それを特別法で期限を切ったために、枠組み論が先行してしまっている。だから住民にとっては「何で合併なの」と自分たちのこととして意識化されていないように思います。 ●確かに、全体として地域が盛り上がって合併という感じではないですね。 富野 今の地方行政はかなり頑張っているし、地方分権でこれから住民参加という時に、合併でこれまでの地域がなくなってしまうことになった。しかし、合併が進んでいることは事実なので、それを地域でどう受け止めるか、住民と地域がどのように共通の基盤を持てるかがポイントになると思います。その問題設定をきちんとしておく必要があります。 ●合併が進むと、住民には生活面を含めて様々な影響があると考えられます。その場合、住民側から見た意見を、何らかの形で発言していく必要があるのではないでしょうか。 富野 実際には発言のしようがないと思いますね。合併が地域に与える影響には二つのレベルがあると思います。一つは今まで自分が住んでいたまちがなくなる、つまりアイデンティティーがなくなるという点。この「アイデンティティー・クライシス」については住民自身もわかっていないし、行政も「まちがなくなる」という説明をしていない。この「アイデンティティー・クライシス」をどうするかという意識を行政も住民も持つ必要があると思います。これを意識することで合併問題を自分たちのこととして意識化できるようになります。 ●確かに今はそのような議論はされていませんね。このことは合併後に顕在化するのでしょうか。 富野 アイデンティティーがないと合併後はまちができなくなる怖れがあります。もう一つの影響は、学区のことや介護保険のことなど、まさに生活のレベルの問題。これら二つの問題点が、先ず住民に自分たちの問題として意識化されないと。現状では生活レベルの変化についてしか説明されていません。また現在の動きは、これまでのように何もかも行政に任せる「お任せ型」行政をさらに拡大する方向に走っているように思います。地方分権は本来、「お任せ行政」から「自立型の行政」に向かうはずです。つまり、住民と行政の役割分担を明確にし、公共サービスを含めた住民と行政の関係を変えていくことが分権論議だったはずです。今の論議は全く逆のことをやっている。だから合併すべてを意味がないと否定しているわけではないが、残念ながらどうしても批判的な意見になってしまいます。 ●合併により、行政との距離がますます住民から遠くなる恐れがありますが、それを地方分権が進む中で説明しているので余計にわかりません。 富野 学者でもわかりませんよ(笑)。そもそも合併したから遠くなる、ということではなく、行政の力が落ちてきたから住民の要求に応えられなくなった。そういう意味で、基礎自治体を合併によって力をつけようという動きですね。ただ、合併したからそれだけで力が強くなるかといえばそうではない。むしろ、行政が公共サービスの全てを担うのではなくて、公共サービスの質を変えていく方が大切です。行政が持っている人的・物的な資源を地域社会に展開し、その中で公共サービスや様々な高度なサービスを社会全体として担保することで、住民の要求を充足していくというような社会の構造に変えていく必要がある。合併は、その傾向を加速させたかもしれないが、本質論ではないですね。 ●住民からみて、合併後のまちづくりがどうなるかに関心があります。 富野 合併後、大きな範囲で一つになって行くまちづくりは、たぶん無理でしょう。地方制度調査会でもその点は諦めて「多極型のまちづくり」と言っています。現在の住民自治を考えてみますと、字や集落といった生活単位を壊して、基礎自治体という行政単位の中で擬似的な住民自治が展開されていますが、そもそもそれが間違いです。本来は、生活の中で人々が互いに助け合って生きていく単位を、それぞれつくっていくことが正しいと思います。 ●住民のいろんな生活スタイルによって、重層的にいろいろな自治があってよいというイメージでしょうか。 富野 「マルチ・アイデンティティー」になってよいと言うことです。つまり、生活単位、学区単位、自治体単位などのさまざまなアイデンティティーを、どのように補完性の原理で機能させていくのか、また、その関係性をどう創っていくのかが問題であり重要だと思います。 ●そういう流れの中では、市民の自発的な活動、NPO活動がひとつの柱になると思われますが。 富野 そのあたりは微妙ですね。市民活動・NPOには地域により活動の温度差があります。私は、それを「地域活動」という形でやらないといけないと思います。市町村合併によって自治体の生活レベルの機能がかえって弱まる。人々のアイデンティティーが弱まって自治体レベルでのいろんな動きがやりにくくなってくるでしょう。そこで活きてくるのは、地域組織しかないでしょう。一人ひとりの生活レベルをどうするか、というところでやるしかなくなってくる。NPOという組織を中心にものを考えるのではなく、もう少し地域に根をはった地域の活動、在来型のコミュニティに着目した地域活動を、いかに自律的な活動に持って行くかが重要になるのではないでしょうか。 ●地域組織が育っていくことで、市町村や県は形を変える必要があるのでしょうか。 富野 地域の住民がしっかりしていれば、行政がどうでもあまり関係ないと言うか、分権の時代なのでいろんな形が出てくると思います。大事な点は、地域住民がしっかりしていて、地域住民が何かしようとした時に、行政がどう対応できるかです。これからの市町村は、ある意味で格差が出てくると思います。これまでのように、市町村行政だけで様々な施策を展開するということはできないでしょう。だから生活単位、生活レベルの力が大事になってきます。 ●その中で、地域のあり方をどのように考えていけばよいのでしょうか。
●NPOと地縁組織の融合というとなかなか難しいように感じますが。
●本日はありがとうございました。 |
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●2005年3月に合併特例法の法期限を迎えますが、県内の動きも含めて、市町村合併の動きについてどのように見られていますか