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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。


NPOインタビュー■ 

児童虐待を防止する市民団体の取り組み

 児童虐待に関する痛ましい事件がたびたび新聞などで取り上げられています。大人として親として、深く関心ある社会問題ではあるが、非常に難しい取り組みであるのも事実です。市民活動としてどう取り組んでいけばいいのか。今回の「おうみネット」では、弁護士会はじめ関係機関と連携しながら、この問題に早くから取り組んでいる「子どもの虐待防止ネットワーク・あいち(CAPNA)」の活動を紹介し、市民活動としての取り組みを考えます。



子どもの虐待防止ネットワーク・あいち(CAPNA)を設立するきっかけを教えてください。

兼田:子どもの虐待は昔からあったのですが、1990年代頃に社会問題として表面化します。大阪に最初のセンターが設立され、次いで東京でできました。CAPNAを設立された祖父江さん(元理事長)は児童養護施設の施設長で、その頃に弁護士の岩城さん(現理事長)と出会うある事件が起きました。弁護士会には子どもの権利委員会があり、そのメンバーと一緒に、東京や大阪の方々を招いて学習会を始めたのですが、東京の虐待防止センターの広岡さんから「電話一本引いて相談始めたら、いろんな人が集まってくる。まずそれから始めてはどうか」と助言をもらって、電話相談を始めたのが95年でした。おどろくことに、相談を受けた61件の電話のうち47件が虐待に関係していたのです。95年10月には、CAPNAとして正式に発足することになりました。

児童虐待が新聞等でも取り上げられ、関心が高まっています。過去にも虐待はあったと思われますが、以前の虐待と今の虐待に特徴的な差はあるのでしょうか?

兼田:昔と比べて虐待が増えたかどうかは、昔の統計がないのでわかりません。昔は、今でいえば虐待にあたることが「しつけ」の名のもとに行われ、周りもそれが当たり前、という感じだったし、体罰もひどかった。また、子どもの面倒を見ない、いわゆるネグレクトも、今より貧困だったので事象としては多くあったでしょう。ですから、子どもを取り巻く環境としては、今より良かったということはないと思います。児童虐待が表面に出てきているのは、一つは周りが関心を寄せるようになったということと、子どもの権利条約の批准などにより、子どもの人権に関して少しずつ社会認知されてきたからだと思います。

山田:よく虐待する親は「鬼のような」と報道されるが、実際は普通の親が子育てに悩んで虐待に走る、というケースなのです。虐待した親に厳罰をという声もありますが、いくら親を罰しても社会的なサポート体制を整えない限り虐待は減りません。

CAPNAの取り組みの概要を教えてください。

兼田:CAPNAの活動は電話相談、危機介入、調査研究、社会啓発、予防・援助の5本柱で活動しています。電話相談は、設立時から取り組んでいます。ネットワークを広く形成するという趣旨から、電話スタッフ養成講座では、受講生を広く募り、現在100名以上が相談スタッフとして活動に参加しています。
 危機介入は全国的にもあまり例がありませんが、弁護士グループが80人以上いるのはCAPNAの特徴です。「キャプナ弁護団」として別グループを形成して、CAPNAと連携しつつ独自の活動をしています。キャプナ弁護団では虐待された子の弁護だけでなく、虐待した親の弁護もしています。この点がなかなか理解してもらえないのですが、虐待は親だけの問題ではなくて、社会的なサポートを増やしていくことが必要だと考えています。だから、虐待した親の裁判の中で、社会的なサポートが必要なことを明らかにし訴えていくため、親の弁護も引き受けています。このほかに、虐待の問題を社会に訴えていくために、これまで不幸にしてこの世を去った子どもたちの事例を調査し出版しています。また、講演会やセミナーなどを開催して、広く社会に理解を得られるよう取り組んでいます。

では、弁護士が入ることで、救済にどのような効果がありますか。また、親への関わりはどうされていますか。

山田:電話相談やホットラインに虐待の連絡があると、弁護団と児童相談所へ連絡します。弁護団で対応を検討し、関係機関と連携をとりながら取り組んでいきます。事例が緊急を要する場合には、弁護団が独自に動くこともありますが、危機介入は関係機関との連携が大切であり、権限を有する児童相談所とともに行動をしています。特に親権に関することは、やはり法律の専門家である弁護士が必要です。また、虐待している親も弁護士に「法律的に、こうですよ」と言われると納得されることが多いです。基本的に、弁護団はいつも子どもの視線にたって行動しますし、CAPNAには医療関係者や学校関係など様々な人々が連携しながら活動に関わっています。
 虐待された子どものケアも大切ですが、再発防止、また虐待を未然に防ぐためには親のケアも大切と考えています。そのため設立当初から、悩みを持つ母親たちの自助グループを支援しています。ここに来る方たちは、子どもをたたいてしまうなど、すでに虐待している人や自らの生育歴の中で虐待を受け、今も苦しんでいる人などです。たたいてしまうことに罪悪感を抱いているので、当事者同士が語り合うことで、自分だけでない、他にもいる、そしてそれを乗り越えるためにここに来ているんだと感じ、たたきたくなったとき、他の人は違う方法を選んだということから、接し方の意識を変えたり、形を変えることに気づいていく場となっています。


調査研究活動の一環として出された
CAPNA発行の出版

隔月発行の広報誌「キャプナ・
ニューズレター」と会のパンフレット

行政と連携するまでに、いろいろと障害もあったと思うのですが。

兼田:設立当時は行政との対立関係がありましたが、2000年に虐待防止の全国大会を開くにあたって、実行委員へ行政も入ってもらったことで変わってきました。一緒に仕事をすれば、お互いに信頼関係もできるし、こちらの力も理解してもらえる。その後の関係は良いものになりました。CAPNAは市民活動団体として、また、虐待専門の市民団体なので、行政対応の隙間を埋め、小回りのきく活動ができます。

山田:名古屋市は、16の区すべてに「子どもサポート連絡会議」を設け、弁護士会、医師会、CAPNAを虐待専門委員として位置づけています。ここには、CAPNAから電話相談員を1名ずつ派遣しています。会議では、地域ごとに地域で身近におきた事例などについて話し合います。それを行うことで意識の共有化、対応についての協力体制などを築いています。また、CAPNAは愛知県、名古屋市と協定書を結んで、お互いに情報交換ができるようにしています。しかし協定書などを結んでもまだまだ壁は厚いと感じることがあります。

では、虐待をなくすにはどうしたらよいでしょう。

山田:親も子どもの頃に愛情を注がれていないと、自分の子どもにどう愛情を注いでいいかわからない、ということがあるのです。まして社会や地域とのつながりが薄れている中で、子どもにどう接すればよいかわからず、多くの人が悩み、不幸な結果を導く事例も生まれます。だから社会的なサポートが必要と考えています。
 生まれた子どもが、最初に「こんにちは」って出会うのは親なのだから、人間の温かさや愛情を子どもに伝えて、「人って温かいものなんだ」とか、「やさしく関わってくれるものなんだ」という信頼関係を築くことが大切です。ぜひ、人って温かいものと伝えてほしい。

兼田・山田:虐待をしている親自身が子どもの頃虐待を受けていた例が多いのです。殴ってもいいという文化が、子どもを殴っている文化に受け継がれていく。いま暴力を受けている子どもが親になったとき、やはり同じように暴力をふるうでしょう。このような世代間連鎖を断ち切る必要性があるのです。今日、明日に解決できるようなものでなく、二世代、三世代目ぐらいにやっと気づいてなくなっていくのかなという、長いスタンスで取り組む必要があります。また、気がついていない人に対しては、周りが気づいて知らせる必要があるが、みんなが「たたくのはおかしいよ、体罰はおかしいよ」と気づいていないと、なかなか難しい。まず、社会の認識を変えていくことが重要です。


特定非営利活動法人子どもの虐待防止ネットワーク・あいち(CAPNA)
設立●1995年(2000年法人認証)
事務局●愛知県名古屋市中区丸の内1−4−4−404
ホームページ:http://www2.ocn.ne.jp/~capna/
メールアドレス:capna@cronos.ocn.ne.jp

●児童虐待とは・・・
保護者が子どもに対して行う次のような行為をいいます。
 1 児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること(身体的虐待)
 2 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること(性的虐待)
 3 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置

   その他の保護者としての監護を著しく怠ること(ネグレクト)
 4 児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと(心理的虐待)

虐待されている子どもを見かけたら…?

「CAPNAホットライン」
 月〜土 10:00〜16:00
 052−232−0624

児童福祉法、児童虐待防止法では、虐待されている子どもを発見した人は、児童相談所または福祉事務所に通告しなければならないとしています。

■児童虐待に関する相談窓口
◆中央子ども家庭相談センター 電話O77−562−1121
◆彦根子ども家庭相談センター 電話0749-24-3741
◆滋賀県青少年・子ども電話総合相談室(こころんだいやる)
電話077-516-2255 電話077-516-2233(子ども専用)
※このほか、各地域振興局および大津健康福祉センターの「滋賀県子ども家庭相談室」でも相談を受け付けています。

■県内の支援団体
子どもの虐待防止ネットワークしが(CAPNeS)
児童虐待防止に関する啓発事業、電話相談、子ども家庭相談センターの一時保護所等へのボランティア派遣事業、ボランティア養成講座などを実施。
URL:http://homepage3.nifty.com/capnes/capnes/index.htm


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淡海ネットワークセンター(財団法人 淡海文化振興財団)
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