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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。


■NPO公開座談会■


 県内には2万5千人を超える外国籍住民が暮らしています。最近は定住化の傾向から、外国籍の子どもの数も増えています。
 外国籍の子どもたちは文化・生活習慣の違いや言葉の問題など、多くの問題や悩みを抱えています。今回の「おうみネット」では、子どもたちを取り巻く状況を理解し、広く支援の輪が広がることを願って、外国籍の子どもたちを支援している方による誌上座談会をお届けします。
※今回の座談会は12月1日に近江八幡市にて公開で行いました。

右田マリアナ春美さん

小学校3年生の時に来日。高校卒業後、現在、近江八幡市教育委員会で外国語対応相談員。外国籍児童を理解できる教師になりたいと語る。

前田オルガ豊子さん


11年前に来日し、その後日本人と結婚。現在、近江八幡市パートナーシップ推進課で外国人相談員をするほか、外国籍住民を支援するためさまざまな活動に取り組む。

初田元明さん


財団法人滋賀県人権センター職員。10数年前から在住外国人の子どもたちを支援する活動に参加。在日外国人の教育を考える会滋賀会員。

■右田さんは相談員として学校を回っておられますが、子どもたちはどんな問題を抱えていますか。

右田:今関わっている子どもは15人で、学校から派遣の希望があると、その学校へ入ります。中学生では学校へ来られない子、授業についていけない子が多い。不登校ではないが、不登校気味という状態ですね。
前田:日常会話は大丈夫だけど、やはり国語や社会など、授業での日本語ができないから、授業について行けない。ついて行けないから結局、教室がおもしろくない。そんな子どもたちも日本語指導の時間には喜んで参加してくれます。そこが子どもたちの唯一の居場所になっています。

■外国籍ということで「いじめ」はありますか。

右田:私自身の経験ですが、小学校五年生の時、同級生からいやなことを言われたので反発したら「国へ帰れ」と言われ、ショックを受けて学校へ行けなくなりました。ここにおられるオルガさんと担任の先生が熱心に対応してくれたので学校へ戻ることができました。それから私自身、中学校から本名を名乗らず「右田春美」で通していたので、たぶん先生も含めて、私が外国籍と知らない人も多かったと思います。
12月1日に行われた公開座談会の様子

■どうして本名を名乗らなかったのですか。

右田:「右田マリアナ春美」と名乗ることで、呼ばれる時に人と違うし、その時の周りの反応も怖かった。「むこうではどやったん」とかいろいろ聞かれたり言われることがすごく嫌でした。
前田:私も同じような経験があります。結婚後、近所に紹介された時、ちょっとした手みやげには「前田豊子」と家族が書いてくれました。「オルガ」が抜けているんですね。その時私は「あぁ、これは日本の特殊なやり方なのか」と思いました。「外国からお嫁に来た人」と聞かれた皆さんは私が日本人の顔をしていることを知ると驚いていたように思います。相手が思っている外国人のイメージと私とのギャップがあったのでしょう。私もそういう面でカルチャーショックを受けて、その後「前田豊子」でずっと生活していました。でも職場では「オルガ」と親しんでいただき「このままの私を受け入れてくれているんだなあ」と感じて嬉しかったです。時々外国籍とバレましたが、日本人の名前で生活する方が楽な面があるのではないかと思いました。やはり本名で暮らすと、遠慮しながら気を遣いながら生活しなければならないことがあります。

■大人でも遠慮しながら暮らしているということですが、子どもたちはもっとしんどいでしょうね。

前田:多くの子どもたちは厳しい中でも本当にたくましいと思います。小学校三年生のマリアナさんと出会ったとき、他の学校にも四人の外国籍の子どもがいました。日本語は十分ではありませんでしたが、みんな努力して高校に進学しました。現在、通称名で通っている子どもがおりますので、ルーツを表に出さない心の問題は自分たちの問題ではなく日本の社会の問題ではないかと思います。
初田:在日コリアンも本名を名乗れない、名乗らない子どもたちが多いです。同じことが、マリアナさんの世代にもある。違いを認めない文化とか社会が日本にあるように思います。それからオルガさんが外国籍であることが「バレる」と表現されましたが、以前「外国籍の子どもはいますか」と、私が関係している団体が各学校に調査したことがあります。答えは「プライベートだからバレると困る」ということでした。教員の意識は、子どもにも伝わります。そういう雰囲気や意識を変えていかないと、多様な文化を認めていく社会にはならないと思います。

■「バレる」と言うよりも「私は何々」と堂々と言える社会でないといけないと思うのですが。

右田:私は、その子自身の問題もあるので、本名を名乗らないことそれ自身は悪いと思っていません。ただ、その子がなぜ本名を名乗れないのか、なぜ名乗らないのかを周りの人に知って欲しいし、知らないといけないと思います。それに、学校を回っていて思うのは、外国籍の子どものことにかかわらず、先生が子どものことを考えている余裕がないように感じられますね。
初田:先生も人だから、個々の意識の問題だと思います。個人的に取り組んでおられる先生もいますが、学校全体として取り組むという具合にはなっていません。ある意味学校の問題が外国籍の子どもが来たことによって表に出てきたとも言えます。
前田:学校でのシステムはあくまでも日本の学校に適応させるという方向で、違いを認め合うというものでないですね。いろんなことを認めていくことで日本人も日本の社会も豊かになると思います。

■学校以外のところではどんな問題がありますか。

前田:学校生活がうまくいかない子どもたちは、週末や学校へ行っていない日にゲームセンターへ集まっています。その子たちは学校へ行けないという心の問題がとても大きく、学校と違うところに居場所を探しています。ですから、居場所づくりをしていく必要があると痛感しています。また、最近では子育てに関する悩みや児童虐待に関する相談もあります。
初田:マリアナさんはオルガさんに出会えて学校へ戻ることができたけれど、現実には支援してくれる人に出会えていない子どもの方が多いのです。本来は外国籍であっても、子どもの権利条約で子どもの権利を守らないといけないと決まっているのに、地域社会がほったらかしにしている部分があるように感じます。このことは地域や周りで解決していかないといけない問題だと思います。

■学校だけの問題ではないようですね。日本の社会にも問題があるわけですね。

前田:子どもたちの問題の背景には、親の就労事情という大きな問題があります。多くの日系人は就労時間が長くほとんど家にいないので、親子の対話も少ない。その結果、子どもは母語で話さなくなってきています。また、職場でも外国籍ということで差別され、結局、外国籍であるためのマイナスイメージしか子どもに伝わらない。これらの問題は、地域のみんなで考えて、支えていかないと、一人や二人で解決できる問題ではないのです。初田:本当は個人の多様性を認めていく方がみんな生きていきやすいのに、何か締め付けられていますね。自分も大事にされていないから、おまえも我慢しろという社会。それがいろんな人権問題のベースになっているように思います。
前田:いろんな苦しいことも抱えていますが、人と人がつながるとすばらしいことができると、楽観もしています。ブラジルでは日本人は日本人らしく、また、ドイツ人、イタリア人、ポルトガル人等、言葉も文化もそのままで暮らしています。そういう多文化社会を見てきたので、あきらめないで、日本でも同じようにできたらいいですね。そうなると信じて活動しています。

■今日はありがとうございました。

座談会を終えて

今回の座談会は、外国籍の子どもたちがおかれている現状を広く知っていただきたいため、また、支援の輪が広がることを願って公開で行いました。参加者は在住外国人支援をはじめ子育て支援や児童虐待防止の活動をしている人、あるいは「心の病で通院される外国籍の子どもさんが多くなってきたので、その背景を知りたくて」参加された病院勤務の方などで、県外からの参加者もありました。座談会終了後、外国籍の子どもたちがおかれている状況や各自の取り組みについて意見や感想、情報が交換され、新たな出会いも生まれ、支援の輪が広がったことと思います。子どもたちの問題を解決するには、やはりボランティアの取り組みだけでは限界があり、学校を含めた地域全体がなぜ彼らがそこにいるのか、なぜそうなっているのかを理解し、支えてい
く必要があると思います。
(事務局 川勝)

参加者の声

皆さんのエネルギーのすごさを見てある意味安心しました。今後もこのような機会があれば参加したいです。
いろいろな問題が分かりとても良かった。生の声が聞けたことが一番良かった。
公開座談会非常におもしろいと思います。ぜひ習慣化していただければ。
誌面では伝わらない雰囲気やエピソードを味わい聞くことができよかったです。またこんな機会を。



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