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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。


■NPO誌上講座■


 指定管理者制度は、地方自治体が設置する「公の施設」(注1)を、民間事業者を含めた多様な団体が管理し、運営できるようにした制度です。2003年9月の地方自治法改正により導入されました。公共施設管理の新たな担い手として、NPOにも期待が寄せられています。
 指定管理者制度への移行期限は2006年9月ですので、現在滋賀県内の各自治体では本格導入へ向けての準備が進められています。今回の「おうみネット」では、NPOの活動に指定管理者制度がどのように影響するのかについて、実際の事例をみながら考えてみました。(事務局 笹山衣理)

■指定管理者制度とは

「指定管理者制度」は、これまでの「管理委託制度」(注2)に代わるものとして導入されました。これまでは、施設の管理者は公共団体、公共的団体、政令で定める出資法人に限定されていて、施設の設置管理条例に記載された特定の団体が、独占的に毎年管理業務を請け負ってきました。法改正によってその枠が取り外され、NPOなど民間事業者を含めた多様な団体が管理運営を行えるようになりました。これが「指定管理者制度」です。
 また、公の施設に関する管理者の権限の範囲についての考え方も転換されて、施設の利用許可といった権力性のある事務について、指定管理者が一部代行することができるようになりました。さらに、利用料金制度(注3)の採用や、条例の範囲内で利用料金を設定できるなど、制度のつくりかたによっては管理者の裁量が大いに広がる可能性を持っています。
 地方自治体は、2006年9月までの猶予期間の間に、現在委託している公の施設の管理について、直営に戻すか、指定管理者制度を導入するかの選択を迫られており、公の施設に関する条例を改正し、指定管理者を指定するための具体的な作業をすすめていく段階を迎えています。
●2004年7月からNPO法人男女共同参画ネット尼崎が指定管理者となった尼崎市立女性・勤労婦人センター トレピエ」
■「尼崎市立女性・勤労婦人センター『トレピエ』」の例
 では、実際にNPOが施設の管理者となるまでに、どのような準備が必要なのでしょうか。2004年7月から「尼崎市立女性・勤労婦人センター『トレピエ』の管理運営を行っているNPO法人男女共同参画ネット尼崎理事の内田信子さんにお聞きしました。同法人は1992年に設立された尼崎市女性団体協議会の役員が中心になって、2003年9月に法人格を取得しました。
 「まずは実績をつくらなければ、と考え、NPO法人の設立総会以降、講座などいろんな自主事業を積み重ねました。女性団体協議会としては実績があるのですが、NPO法人としての実績はゼロでしたから。
 そして、単に建物の管理だけを考えるのでなく、私たちだったらどんな女性センターを創るのか、ここからどんなメッセージを発信するのか、そのために具体的にどのような事業をしていくのか計画を立て、それをアピールできるようプレゼンテーションの準備を念入りに行いました」。トレピエの場合、男女共同参画ネットを含めて、NPO2団体、企業4社からの応募がありました。書類審査と公開のプレゼンテーションによって「総合力」「管理能力」「事業能力」「コスト」の四項目について審査されたそうです。「建物管理について私たちは素人ですから、積算の仕方もよく分からない。ビル管理に詳しい知り合いに相談し、できるだけ節約するようにしましたが、この点ではビル管理にたけた企業に負けていたかもしれません。でも、講座の企画などのソフトの部分は、私たちの経験が一番活かせるところで、施設の設置目的を踏まえた十分な提案ができたと思っています」。
●NPO法人男女共同参画ネット尼崎理事の
内田信子さん

■指定管理者となることの意義

内田さんが語るとおり、NPOの専門性は、建物管理というハード面よりもソフト事業でより活かされるように思われます。それならばソフト事業だけ受託した方がいいのではないですか、と尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。
 「建物も30年ぐらい経っており、正直言って機械類のメンテナンスなど素人が管理するには難しい部分もあります。貸館業務は手間がかかりますし、平等利用の確保にも気を遣っています。でも、それで利用者とコミュニケーションを取ることができますし、その人たちとの関係がより深まって一緒に活動できるのがうれしいです。施設の管理も含めて全体を管理してこそ提供できるサービスがあると思っています」。

●尼崎市女性・勤労婦人センター「トレピエ」
多目的ホール、学習室、視聴覚室,OAルーム、調理室、フィットネスルーム、情報室などを備える。女性の自立と社会参加を支援し男女共同参画社会の実現を目指して、相談事業、講座・講演会開催、啓発、情報収集などを行っている。

■市民とのかかわり

「以前は利用者の立場で、女性に関わる問題についてこんな取組みをした方がいいと提案する側でした。指定管理者となったことで、センターの事業を通して、こういった思いを、自分たちの手で実現できるようになったのは、本当にすばらしいことだと思います」と内田さんが語るように、施設の管理運営をNPOが担うことは、市民が公共の政策に参画することだとも言えます。
 一方では「民間に任せて本当に施設の平等利用を確保し、公共性を保つことができるのか」との声もあがっています。しかし、民間事業者が勝手なことをしないようにと、管理者の業務や施設管理の基準を条例や規則でこと細かに定めてしまうと、法改正によって期待されていた事業者の専門性や市民のニーズに対応する柔軟性が活かされないことになってしまいます。施設の今後のあり方を方向づけるうえでも、条例や規則をどのようにつくるかがたいへん重要になります。自分たちの地域にある施設をどう創り、活かすのか、市民やNPOの側からも関心を持ち、市民の視点の入った制度づくりができるように積極的に関わっていくことが大切ではないでしょうか。

●(注1)「公の施設」
 「地方公共団体が設置する施設のうち、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」のことで、具体的には体育館、野球場などのスポーツ施設、美術館、図書館、社会福祉施設、病院、公園、公民館などがこれにあたります。滋賀県立の施設は92施設と公表されましたが、市立、町立の施設を含めると、滋賀県内には約1,200の公の施設があるといわれています。
●(注2)「管理委託制度」
 施設管理者は自治体から管理委託料を受け取り、基本的に自治体が示す仕様書に沿って、契約内容を誠実に履行することが求められます。事業の成果や責任は最終的に自治体に帰すものとされます。
●(注3)「利用料金制度」
施設管理者が利用料収入を自らの収入とすることができる制度。利用者が増えれば収入が増えるため、管理者の経営意欲を高める効果があると考えられます。

滋賀県の動き

滋賀県では、2004年10月に「県立施設の指定管理者制度導入ガイドライン」を策定し、制度導入に向けた基本的な考え方を示しました。この中で、「設置管理条例改正にかかる議会への提案方式としては、個別条例ごとに改正する方式を前提として作業を進めること」と記され、「指定管理者が行う業務の範囲」「指定管理者の指定の手続」「施設の管理の基準」などの具体的な内容については、施設を担当する各部局で検討し、2005年6月の県議会に施設の設置管理条例の改正案が提出されることになっています。
指定管理者制度導入のスケジュール(滋賀県立施設の指定管理者制度導入ガイドラインより)
※これは、滋賀県立施設に関するもので、市立・町立施設のスケジュールとは異なります。
 ・2004年10月    指定管理者制度導入ガイドラインの策定
 ・2004年10月〜   各部局で制度導入に向けた検討
 ・2005年6月    施設の設置管理条例の改正(県議会の承認)
 ・2005年7月〜8月  指定管理者の募集
 ・2005年9月     候補者の選定
 ・2005年10月    仮協定
 ・2005年12月    指定管理者の指定/債務負担行為(県議会の承認)
 ・2005年12月〜   県民への周知
 ・2006年2月     2006年度当初予算(県議会の承認)
 ・2006年3月     協定締結
 ・2006年4月     指定管理者による管理開始

滋賀県指定管理者制度についてのホームページアドレス
http://www.pref.shiga.jp/gyokaku/shiteikanri/


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