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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。


■NPOフォーラム■ おうみ市民活動フォーラム2005 5時間徹底討論

協働のアリーナをどうつくるのか

〜NPO・企業・行政の立場から〜


 少子高齢化の進展など社会構造の変化や、人びとの価値観の多様化に伴って、社会サービスの新たな担い手として「市民セクター」が現れ、今、NPO・企業・行政といったセクター間の「協働」による問題解決の手法が注目されています。
 一方で、市民活動の本質を捉えることなく、「協働」という言葉ばかりが先走りしているような場面が目につくことがあります。
 そこで、淡海ネットワークセンターは、なぜ今協働なのか、NPOと企業、NPOと行政の協働について深く掘り下げるため、昨年11月に多彩なゲストを招いて5時間徹底討論を実施しました。
 5時間の間に登場したゲストは総勢13名。円形に組んだ会場からの意見も交えて、活気あふれる討論会となりました。

第1セッション「なぜ、今、協働なのか」

 地域の課題解決に向けて、さまざまな場面で、セクター間の協働の重要性が語られています。なぜ、今、「協働」が注目されるのでしょうか。
 協働の定義は確定したものはありませんが、「参加」に比べて、協働する双方の主体性、自発性、決定に対する影響力を要件としている概念として捉えられます。
 社会の動きや出来事など、身近に起きるさまざまな問題についての人々の関心は高まってきています。「自分本位である」「無責任の風潮が強い」「連帯感が乏しい」といった社会の問題点が認識される一方で、「社会のことにもっと目を向けるべきである」と考える人は増えていて、約6割の人が「社会の一員として何か社会のために役に立ちたい」と考えています。そして1998年のNPO法により、全国にたくさんのNPO法人が誕生しました。
 『協働について特に熱心なのは、行政でしょう。国も地方も多額の借金を抱えていて、お金を使えないのに、多様化する社会の中で対応しなければならない緊急の課題はたくさんあふれています。これをNPOに肩代わりさせようとしているのだと思います。』
 『株主利益だけを考えていたのでは世間から信用されないと気づいた企業が、いかに企業の社会的な価値を上げるか、社会の課題と直結するNPOと結びつくことで、社会的な責任(CSR)を果たし、ひいては企業の価値を上げることを考えるようになっているのではないでしょうか。』
 『NPOが他のセクターに期待しているのは、お金と施設だけ?』
 『企業や行政とつきあうのは、NPOにとって活動が広がり、資金面で助かる面もありますが、下手をすると飲み込まれてとげを抜かれてしまうという危険と両面を感じます。』
 「協働しなければ」というムードだけで、とりあえず一緒にやっておこう、と事業が進んでしまうこともあるようです。
 これまでは、行政が実施する事業については、企画も実施も行政の組織の中だけで行ってきて、NPOや市民には参加を求めるだけでした。しかしNPOは住民や地域に密着した活動基盤と視点を持ち、それらのニーズに敏感であることから、行政とは違った発想で多様な公共的サービスを提供できる可能性を有しています。
 これからの地域社会においては、行政があらゆる公共分野に関与するのではなく、適切な役割分担のもとに、住民やNPOの自主的・自発的な活動が広がっていくことが望まれます。行政は住民のこうした活動を側面的に支援しつつ、共に公共的サービスを担う存在として、NPOとの協働に積極的に取り組んでいくことが求められています。

▲第1セッションの様子。

▲円形に組んだ会場からも意見が出されました。


第2セッション「企業と築く協働のアリーナ」
 企業とNPOの連携・協力の大半は、企業がNPOの活動に対して資金や人材等を提供する形で進められてきましたが、最近では、NPOが企業に対してノウハウや専門知識等を提供するケースなど、両者がそれぞれ互いの特質を活用しあう動きが進みつつあります。「企業の社会的責任(CSR)」が重視されるなか、NPOと連携し、環境保全や品質管理に関する社会の声を把握して製品開発や情報開示等に活かすなどの協働の形は、双方にとってメリットが大きいので、一段と広がっていくことでしょう。
 「企業の社会貢献活動」には、寄付金を含めた物的貢献だけではなく、従業員の参加などを含めた人的な貢献も必要だと捉えています。
 こうした人や労務の提供による社会貢献活動も、企業にとっては「地域社会の維持発展につながる」、「人材育成につながる」など、地域社会の発展や地域社会とかかわることを通じて従業員が成長することが企業の利点と考えられるようになっているようです。

▲第2セッションで発言する水野敏明さん

▲第2セッションコーディネーターの松田弘さん

第3セッション「行政とNPOとの協働のアリーナを考える」

 市民との協働による施策づくりに取り組む自治体の実例や、行政との協働に取り組むNPOの経験から、市民の主体性の問題、自治会とNPOとの関係、行政の縦割りの弊害など、さまざまな問題が話されました。
 「とにかく協働しないといけない」という意識で、協働の形態を取っておけば都合がいいと考えて、形だけの協働に陥っている例も多々あるようです。さらに、単なる事業の下請け団体という感覚で、NPOやボランティアを扱おうとするケースに至っては、行政が単なるコスト削減のために、アウトソーシングをするのと同じ感覚であるといわざるを得ません。
 NPOによっては、従来の地域における住民団体と同様、行政依存体質が定着していたり、行政の行動原理をよく理解していなかったりという問題があります。
 そもそも、協働しようとしてもその手続きのしくみやルールが不十分で、協働のためにどこから手をつければいいのか、どのNPOに声をかければいいのか、行政のどの窓口に話せばいいのか、分かりにくいのが現状です。双方の話し合いの不足や、出会う場がないこと、提案し一緒に事業を始める窓口がないこと、異なる文化を持つ組織同士が対等に話し合えるよう間を取り持つコーディネーターがいない、NPOと行政との役割分担が不明瞭、協働したあとの事業評価方法の開発が課題としてあげられました。
 特にNPOと行政の協働については、これまでもさまざまな観点からあり方について議論されてきました。『協働の第一歩は対話から』という話もありましたが、本来はすべての場面で行政とNPOが気軽に話し合いができることが必要です。NPOの中には、自分たちの活動に関係のある行政の担当者と独自のコミュニケーションを持っている団体もあります。しかし、初めての団体にとってはなかなか気軽に話し合える場が少ないのが現状で、対等な立場で話し合いの場を持つことができる仕組み、『対話のアリーナ(場)』をあちらこちらにつくっていくことが望まれます。そんな協働のアリーナの一つに「おうみ市民活動フォーラム2005」の会場がなったのではないでしょうか。

▲第3セッションで発言する福井久美子さん

おうみ市民活動フォーラム2005・5時間徹底討論

 開催日:2005年11月19日(土) 10:00〜16:00
 会 場:ひこね市文化プラザ(彦根市野瀬町)

 プログラム
  10:00〜 開会、趣旨説明
  10:10〜12:00
 第1セッション「なぜ、今、協働なのか」
  ・阿部圭宏さん(NPO法人市民がささえる市民活動ネットワーク滋賀代表)
  ・谷口浩司さん(佛教大学社会学部公共政策学科教授)
  ・水谷 綾さん(大阪ボランティア協会NPO推進センター)
  ・溝口 弘さん(NPOわいわいあぼしクラブ理事長)
  ・武藤精蔵さん(東近江市職員/遊林会代表)

  12:00〜12:30 休憩

  12:30〜14:00
 第2セッション「企業と築く協働のアリーナ」
  ・津屋結唱子さん(子どもの美術教育をサポートする会代表)
  ・法橋 聡さん(近畿ろうきん地域共生推進センターセンター長)
  ・松田 弘さん(淡海フィランスロピーネット顧問)
  ・水野敏明さん(WWFジャパン)

  14:00〜15:30
 第3セッション「行政とNPOとの協働のアリーナを考える」
  ・海東英和さん(高島市長)
  ・田中逸郎さん(豊中市職員/NPO法人NPO政策研究所理事)
  ・津屋結唱子さん(子どもの美術教育をサポートする会代表)
  ・富野暉一郎さん(龍谷大学法学部政治学科教授)
  ・福井久美子さん(NPO法人NPOぽぽハウス理事)

 15:30〜16:00 クロージングセッション

Column  公共を創造する市民

谷口浩司

佛教大学社会学部
公共政策学科教授

 多元的な主体が統治に責任をもって参加する市民社会への期待が高まっている。ひこね市文化プラザを会場に行われた「おうみ市民活動フォーラム2005」は、この時代の要請に応えようと企画された。さすがおうみの国らしい地域の底力を感じさせる5時間であった。
 フォーラムに掲げられたテーマは、NPO、行政、企業の協働のアリーナをどうつくるか。これは国が今盛んにいう「民間にできることは民間に」と少し違うように私は考えている。「官と民」「公と私」は、官が公を独占してきたために、何か表裏一体のようにとらえられてきた。だが官も民も、満たされるべき公と私のための手段でしかない。したがって、公は官によって定義されるものではなく、私との対置の文脈に置かれるべきものである。官が担う公もあれば、民によって担われる公もある。しかしそれだけではない。市民として、あるいは市民の組織NPO、NGOとして担う公がある。
 膨大な借金を抱えた国と地方の危機的財政、営利に走りすぎて過ちを犯す企業。こうした時代の潮目にあって、協働が命題として先にあるのではないことを、フォーラムからしっかりと読み取ることができたように私は思う。子育てに戸惑う母親、障がい故に社会への接点を取りにくい人、荒れていく里山、そして琵琶湖は。いつの間にか地域に堆積した課題。あたかも自動するように語られた市民の活動であった。

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