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淡海ネットワークセンター(Ohmi Network Center for Voluntaly Organizations)
淡海ネットワークセンターは、地域や社会の課題解決に自主的に取り組むNPOや市民活動をサポートしています。


■NPO講座■

協働のアリーナをどうつくるのか

 「NPO法人になると、毎年事業報告書をつくらなければならないしめんどうだ」という意見をときどき耳にします。書類づくりに手間を取られるよりも実際の事業に力を入れたい、そう考えて任意団体のままで活動を続ける市民活動団体もあるようです。
 法人になるかならないかは団体がそれぞれの事情にあわせて判断することなのですが、やっかいものとしてとらえられがちな事業報告書の提出義務を、情報公開と協力者確保の視点で、前向きにとらえることはできないでしょうか。

事業報告書等の提出と公開制度

 NPO法人には、毎年事業年度終了後から三か月以内に事業報告書等を所轄庁に提出する義務があります。これは特定非営利活動促進法(NPO法)に定められていることで、所轄庁に提出するとともに、これら事業報告書等を法人の主たる事務所内に備え置き、請求があれば公開することになっています。
 なぜこのようなしくみがあるのかというと、NPO法人の事業内容などに関する情報を広く市民に提供するとともに、その事業が適切に運用されているかどうか等について市民相互のチェックによる自浄作用を期待したものとされています。行政は主に情報公開のための窓口としての役割を担いますが、活動内容について細かに監督・指導するわけではありません。活動内容については、第一義には市民による評価・チェックに委ねるという方法がとられているのです。
 事業報告書等が公開されることによって、市民はNPOの活動をある程度知ることができます。自分が応援したい活動をしているかどうか、活動に参加するか、会員になるか、寄付をしようかどうか、サービスを受けても大丈夫だろうか、公開された情報がNPOの信用性を判断する一つの材料になります。好ましい活動をしていると判断されれば、協力者も増え、顧客も増え、活動も発展するでしょうし、好ましくない活動をしていると判断されれば、協力者は減り、顧客も減り、活動も停滞するでしょう。行政の指導ではなく、市民の目によるチェック機能でNPOを育成発展させるという趣旨がこの制度にはあらわれています。
事業報告書作成・提出の方法
 都道府県で認証されたNPO法人は都道府県に、内閣府で認証された法人は内閣府に事業報告書等を提出します。法人認証手続きと同じく、滋賀県ならば県庁NPO活動促進室が、内閣府ならば国民生活局市民活動促進課が窓口を担当しています。
 これらの書類については「電子申請」を利用することも可能で、事前に手続き(注1)をすれば窓口に出向かなくてもインターネットを通じて提出することができます。
 提出が必要な書類は、
   (1)事業報告書
   (2)財産目録
   (3)貸借対照表
   (4)収支計算書
   (5)前事業年度の役員名簿
   (6)前事業年度の社員のうち十人以上の者の名簿
で、これらを二部ずつ(※滋賀県の場合)提出します。定款に変更があった場合は、さらに定款、定款変更認証の写し、登記事項証明書の写しがそれぞれ二部ずつ必要になります。
 滋賀県NPO活動促進室が発行している「NPO法人の設立及び管理・運営の手引き」にこれら提出書類の様式<例>が示されていて、ホームページ「協働ネットしが」(注2)からもダウンロードして使用することができますが、必ずこの様式<例>のとおりに作成しなければならないということではありません。自分たちの活動が伝わりやすいように独自の様式で作成することが可能です。
 例えば、日常の会計処理にパソコンなどで操作する会計ソフトを使っている場合、仕分け入力をすればたいてい財産目録や貸借対照表、収支計算書は自動的に作成されます。これらの会計帳票を作り替えずにそのまま使ってもかまわないのです。(注3)

(注1)特定IDの取得などの手続きが必要です。滋賀県認証法人の場合、県庁NPO活動促進室に相談してください。
(注2)協働ネットしがhttp://www.npo-shiga.net/
(注3)企業会計ソフトを使っている場合など、発行される諸表の名称が異なる場合があります。



▲ホームページ「協働ネットしが」で、NPO法人の事業報告書と
定款を閲覧することができます。

事業報告書等の行方

 事業報告書等は提出された後どうなるのでしょうか。まず、提出窓口で記載内容の確認がされます。ここで活動内容を厳しく監視されるというものではありませんが、例えば収益が理事に分配されているとか、役員が家族ばかりとかのように、明らかにNPO法で禁止・制限されているようなことが判明すれば、当然指導や監督の対象となるでしょう。
 内閣府が示している「NPO法の運用方針」において、特定非営利活動にかかる経費がその他事業の経費に比べて少なすぎたり、事業費に比べて管理経費の割合が高すぎたりする場合は、報告徴収の対象となりうるとされていますが、活動規模の大小を経費の額だけで計れるものではないので、このあたりは判断の分かれるところです。
 窓口で確認されたあと、一般に閲覧できるよう整備されます。滋賀県の場合NPO活動促進室で閲覧できます。社員名簿を除く書類は「協働ネットしが」上でも閲覧できますが、プリントアウトすることはできません。

市民が育てるNPO
 事業報告書等を作成するうえで念頭に置いておくべきことは、報告する真の相手は所轄庁ではないということでしょう。NPO法の理念は、NPOが自らの情報をできるだけ公開し、市民の信頼を得て、市民によって育てられることが重要であるとしています。NPOのアカウンタビリティー(説明責任)が問われる制度となっています。
 NPO法人にとって、一番大切なことはミッション(使命)です。その団体のミッションが明確に示されているかどうか、そしてミッションに沿った活動が適切に進められているのかどうか、活動内容が詳細に述べられ、さらに当初の計画に対し、できたこと、できなかったことなど自己評価を示すところまでできていれば理想的な事業報告書といえるでしょう。
 よろしからぬ活動をするNPO法人の存在がニュースで取り上げられるたび、「NPOに対する行政の監視・監督をもっと強化すべきだ」という意見が聞かれます。NPOが行政の監視のもとで活動するようになったら、何のために法律までつくってNPO法人を誕生させたのか、それこそ意味のないことになってしまいます。
 NPO法の理念が活かされるよう、NPOも市民もこの情報公開の制度を積極的に活用したいものです。

特定非営利活動促進法(抜粋)

第二十八条
特定非営利活動法人は、毎事業年度初めの三月以内に、内閣府令で定めるところにより、前事業年度の事業報告書、財産目録、貸借対照表及び収支計算書(次項、次条及び第四十三条第一項において「事業報告書等」という。)並びに役員名簿(前事業年度において役員であったことがある者全員の氏名及び住所又は居所並びにこれらの者についての前事業年度における報酬の有無を記載した名簿をいう。)並びに社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面(次項、次条及び第四十三条第一項において「役員名簿等」という。)を作成し、これらを、翌々事業年度の末日までの間、主たる事務所に備え置かなければならない。
2 特定非営利活動法人は、その社員その他の利害関係人から事業報告書等(設立後当該書類が作成されるまでの間は第十四条において準用する民法第五十一条第一項の設立の時の財産目録、合併後当該書類が作成されるまでの間は第三十五条第一項の財産目録。次条第二項において同じ。)、役員名簿等又は定款若しくはその認証若しくは登記に関する書類の写し(次条及び第四十三条第一項において「定款等」という。)の閲覧の請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧させなければならない。
第二十九条
特定非営利活動法人は、内閣府令で定めるところにより、毎事業年度一回、事業報告書等、役員名簿等及び定款等(その記載事項に変更があった定款並びに当該変更に係る認証及び登記に関する書類の写しに限る。)を所轄庁に提出しなければならない。
2 所轄庁は、特定非営利活動法人から提出を受けた事業報告書等若しくは役員名簿等(過去三年間に提出を受けたものに限る。)又は定款等について閲覧の請求があった場合には、内閣府令で定めるところにより、これを閲覧させなければならない。
Column 

提出をお忘れなく!

滋賀県NPO活動促進室
大橋昭則さん

 NPO法人にとって事業報告は年に1回のことですので、つい忘れてしまうことがあるようですが、必ず提出期限(事業年度終了後3か月以内)を守っていただきたいと思います。これはNPO法で求める最低限のルールですので、このことをおろそかにする法人が増えると、今のNPO法人制度が監督強化の方向に向かわないとも限りません。
 内容的には、NPO法や定款に沿ったものであれば、活動に対してこちらから申し上げることはありませんが、会計書類に計算ミスや金額の不整合・不一致がみられる場合がありますので、信頼性を保つ上でも十分確認をいただきたいと思います。
 なお、役員に変更(再任含む)があれば、事業報告と同時に届け出をお願いします。
 事業報告は面倒なものではなく、法人が社会に向けてアピールする機会ととらえていただくと、記載内容も自然と明瞭で市民に分かりやすいものになっていくでしょうし、NPOに対する社会的な信頼や認知の広がりにつながっていくと思います。
 一担当者としてそうなることを願っていますし、そのお手伝いができればと考えています。どうぞお気軽に当室までお問い合わせください。
【問】滋賀県NPO活動促進室
TEL.077-528-4633 FAX.077-528-4960

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