| おうみをかんがえる… |
| 淡海ネット・コラム |
| 「現代社会とNPO」 |
| ー第3回ー |
| 滋賀大学経済学部教授 (財)淡海文化振興財団運営会議座長 北村 裕明 |
長浜黒壁とパートナーシップ型地域運営
| 長浜市の「黒壁」という企業体を中心としたまちづくりは、地方都市の衰退都心部再生の成功例として広く全国に知られるようになっています。その成功の理由は、黒壁銀行として地域住民に親しまれてきた歴史的建造物と、北国街道の町並みという貴重な地域資源を、すぐれた経営センスとガラスという素材の導入によって、現代に活かしたことにあるといえましょう。 同時に長浜黒壁は、地域住民や非営利組織がまちづくりの主体となり、行政がそれを支援するパートナーシップ型地域運営の展開にとっても重要な教訓を与えています。 確かに黒壁は、株式会社という組織形態をとっていますが、主要な役員は無給ですし、現在のところ株主に配当を支払っているわけではありません。活動を支えているのは、長浜のまちづくりに対する強い思いであり、地域資源の保全と活用というきわめて公共性の高い活動を行ってきたわけです。そうした公共性の故に、長浜市が30%の資本参加をし、役員を派遣しているのです。非営利性とは利害関係者に利益を配分しないことと定義するのが正しい理解ですので、株主に配当しない現状では黒壁は非営利的であるといえます。また非営利組織にとっての重要な価値である、自発性と自己決定性と非政府性を黒壁は十分に持っていると評価できます。 ではパートナーシップ型地域運営という視点から見た場合、長浜黒壁はどのようなことを私たちに語ってくれているのでしょうか。 第1は、黒壁銀行の保存の重要性を指摘しつつ、その活用は行政ではできないので市民に創意工夫を出してもらおうとした当時の長浜市行政側の見識であります。行政は保存買い取りのためのお金は出そう、しかしその活用を中心としたまちづくりは市民の側に任せようとした行政の態度は、パートナーシップ型地域運営の一つの重要な点です。 第2は、市民の側にまちづくりを主体的に担う力量が育っており、すぐれた経営センスをまちづくりに持ち込んだことです。まちづくりに関する研究会やいくつかの活動が1970年代より続けられ、JCの会員や市役所の職員等その研究会の中で育った人材が黒壁を支えた人たちだったのです。したがって黒壁が成功した要因は、人づくりに成功したことです。 第3は、行政がまちづくりのマスタープランを提示し、それを市民に語り続けたことです。例えば、北国街道沿いのまちづくりのプランは、博物館都市構想の中にかなり詳細に示されており、黒壁はそのプランを参考にしつつ店舗展開をしたともいえましょう。 第4は、事業展開については、徹底した情報公開につとめたことです。黒壁が公共性をになった活動であることを担保したのが、情報公開とアカウンタビリティの確保であったといえます。 長浜黒壁は、まちづくりの新しい方向を指し示しているのです。 |
おうみネット第8号表紙へ>> バックナンバー>>